Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)は、ロサンゼルス出身のロックバンドです。ファンクのグルーヴとパンクの衝動を混ぜ合わせるという発想でシーンに登場し、90年代以降のミクスチャーロックの土台をまるごと作ってしまった存在。日本では「レッチリ」の愛称で親しまれています。
上半身裸で跳ね回るライブと、フリーの弾けるようなスラップベース。それだけのバンドだと思われがちですが、「Under the Bridge」「Scar Tissue」「Otherside」のような、静かで美しいメロディの名曲を書き続けてきたバンドでもあります。この振れ幅の大きさこそがレッチリの本質です。
この記事では、バンドがどんな存在なのかを整理したうえで、代表作を発表順にたどりながら、それぞれの代表曲を1曲ずつ紹介していきます。フェスの定番曲は知っているけれどアルバムは聴いたことがない、という方にこそおすすめの内容です。
Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)とは?
ファンクとパンクを混ぜた、ロサンゼルスの高校生バンド
Red Hot Chili Peppersは1982年、ロサンゼルスで結成されました。メンバーは高校の同級生で、ボーカルのアンソニー・キーディス、ベースのフリー、ギターのヒレル・スロヴァク、ドラムのジャック・アイオンズという4人。当初は一夜限りの余興のような形で始まったバンドが、そのままレコード契約に至ります。
彼らが持ち込んだのは、ジェームス・ブラウンやパーラメントのようなファンクのリズムに、パンクの速度と乱暴さを掛け合わせるという発想でした。当時のロックにはほとんど存在しなかった組み合わせで、1984年のデビューから1987年の『The Uplift Mofo Party Plan』までは、ライブハウスを沸かせる過激なファンクバンドとして知られていました。
転機は最悪の形で訪れます。1988年6月25日、ギターのヒレル・スロヴァクがヘロインの過剰摂取で死去。悲しみからジャック・アイオンズも脱退し、バンドは2人だけになりました。残ったキーディスとフリーは、同年10月に当時10代のジョン・フルシアンテを、12月にチャド・スミスを迎えて再出発します。この4人が、レッチリの黄金期の編成です。
1991年の『Blood Sugar Sex Magik』で世界的なブレイクを果たし、1999年の『Californication』でさらに大きな成功をつかみました。回を追うごとにファンクの比率が下がり、メロディとハーモニーの比重が増していく——その変化を追いかけられるのが、レッチリのディスコグラフィの面白さです。
もうひとつ特徴的なのが、ジョン・フルシアンテの出入りの多さ。1992年に脱退し1998年に復帰、2009年に再び脱退して2019年末にまた復帰しています。彼が在籍している時期の作品の評価が高いことは、ファンの間ではほぼ共通認識になっています。
メンバー
| ボーカル | アンソニー・キーディス(1982年〜) |
| ベース | フリー(1983年〜) |
| ギター | ジョン・フルシアンテ(1988年〜1992年/1998年〜2009年/2019年〜) |
| ドラム | チャド・スミス(1988年〜) |
| 元メンバー(ギター) | ヒレル・スロヴァク(1988年に死去) |
| 元メンバー(ギター) | デイヴ・ナヴァロ(1993年〜1998年) |
| 元メンバー(ギター) | ジョシュ・クリングホッファー(2009年〜2019年) |
| 元メンバー(ドラム) | ジャック・アイオンズ(1988年脱退) |
ギタリストの変遷がそのままバンドの音の変遷になっています。デイヴ・ナヴァロ期はヘヴィでメタリックな質感、ジョシュ・クリングホッファー期は内省的で実験的な質感、そしてフルシアンテ期は歌心とコーラスワークが前面に出る——という違いを意識して聴くと、各アルバムの個性がぐっと分かりやすくなります。
数字で見るRed Hot Chili Peppers
全世界での総セールスは1億2,000万枚以上。グラミー賞は5回受賞しており、そのうち3部門は2006年のアルバム『Stadium Arcadium』関連での受賞です。2012年にはロックの殿堂入りを果たしました。
特筆すべきはビルボードのオルタナティヴ・ソングス・チャートでの強さで、1位獲得は通算15曲、1位在位は累計91週、トップ10入りは28曲。いずれもチャート史上最多の記録です。デビューから40年以上にわたってヒットを出し続けている、という点でも稀有なバンドです。
Red Hot Chili Peppersのおすすめ曲・アルバム
それでは、代表作を順番におすすめの曲とあわせて紹介していきます。初期3枚(1984〜1987年)は生粋のファンクパンク路線で、まず聴くには少しハードルが高いため、ここでは現在の編成が固まった4作目以降を取り上げます。
4th Album『Mother’s Milk』(1989年)
1989年8月16日リリース。ヒレル・スロヴァクの死を経て、ジョン・フルシアンテとチャド・スミスを迎えた新編成で作られた再出発の1枚です。ビルボード200では52位ながら、アメリカでプラチナ認定を獲得し、バンドを初めて全国的な存在に押し上げました。
音はまだ荒々しく、ファンクとハードロックが力任せにぶつかっています。それでも、10代のフルシアンテが持ち込んだ音楽理論の知識と、チャド・スミスの重心の低いドラムによって、それまでの勢いだけのバンドから明確に一段上がったことが分かります。
『Higher Ground』
スティーヴィー・ワンダーが1973年に発表した曲のカバー。原曲のクラヴィネットのフレーズを、フリーの獰猛なスラップベースに置き換えたアレンジが強烈です。
ソウルの名曲をここまで暴力的に作り替えて、なおかつ気持ちよく踊れる形にしてしまう。カバー曲ながら、初期レッチリを代表する1曲として定着しました。バンドを知るための入口としても分かりやすい曲です。
『Knock Me Down』
ヒレル・スロヴァクの死を受けて書かれた曲。「気分が良くなりすぎていると思ったら、俺を止めてくれ」と歌う歌詞は、薬物に飲み込まれた友人への追悼であり、同じ問題を抱えていたキーディス自身への警告でもあります。
フルシアンテがボーカルを重ねるサビの美しさは、後の『Californication』以降に開花するメロディ路線の予告のようにも聴こえます。祭りのような曲ばかりのバンドが、痛みを歌えることを示した重要な1曲です。
収録曲
- Good Time Boys
- Higher Ground
- Subway to Venus
- Magic Johnson
- Nobody Weird Like Me
- Knock Me Down
- Taste the Pain
- Stone Cold Bush
- Fire
- Pretty Little Ditty
- Punk Rock Classic
- Sexy Mexican Maid
- Johnny, Kick a Hole in the Sky
5th Album『Blood Sugar Sex Magik』(1991年)
1991年9月24日リリース。プロデューサーにリック・ルービンを迎え、ロサンゼルスの古い邸宅にメンバーが住み込んで作り上げた出世作です。ビルボード200で3位、全世界で1,400万枚以上を売り上げ、バンドをアリーナ級の存在へと引き上げました。
全17曲・約74分という大作ですが、密度が異常に高い1枚。凶暴なファンクと、驚くほど繊細なバラードが同じアルバムに共存しており、レッチリの二面性がここで完成しました。1枚だけ選ぶならこれ、という声が最も多い作品です。
『Give It Away』
アルバムのリードシングル。ビルボードHot 100では73位止まりでしたが、1992年のグラミー賞で最優秀ハードロック・パフォーマンスを受賞し、バンドの代名詞となりました。
フリーのベースリフだけで成立してしまう強さと、キーディスの早口のラップ的なボーカル。全身を銀色に塗った4人が砂漠で踊るミュージックビデオも当時強烈なインパクトを与えました。ライブでは今も最大の盛り上がりを生む曲です。
『Under the Bridge』
ビルボードHot 100で2位を記録した、バンド最大のヒット曲。もともとはキーディスが、薬物に溺れていた時期の孤独を書き留めた詩で、バンドの曲にする予定はなかったといわれています。
フルシアンテの静かなアルペジオから始まり、終盤で合唱が重なっていく展開は、ロックバラードの完成形のひとつ。ファンクバンドだと思われていた彼らが、まったく別の場所にも到達できることを世界に示した曲です。レッチリを1曲だけ聴くならこれでしょう。
『Breaking the Girl』
12弦アコースティックギターのアルペジオが導く、フォーキーな1曲。中盤ではスクラップの打楽器が乱入する実験的な展開もあり、リック・ルービンとの録音の自由さが伝わってきます。
「Under the Bridge」ほど有名ではありませんが、フルシアンテのギタリストとしての美意識が最もよく出た曲として、ファンからの評価が非常に高い1曲です。
収録曲
- The Power of Equality
- If You Have to Ask
- Breaking the Girl
- Funky Monks
- Suck My Kiss
- I Could Have Lied
- Mellowship Slinky in B Major
- The Righteous & the Wicked
- Give It Away
- Blood Sugar Sex Magik
- Under the Bridge
- Naked in the Rain
- Apache Rose Peacock
- The Greeting Song
- My Lovely Man
- Sir Psycho Sexy
- They're Red Hot
6th Album『One Hot Minute』(1995年)
1995年9月12日リリース。フルシアンテが脱退し、ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロを迎えて作られた唯一のアルバムです。ビルボード200で4位、全英2位を記録しました。
ナヴァロのメタリックで重いギターによって、ファンクの軽やかさは後退し、代わりに暗く沈み込むような手触りが全体を支配しています。当時の評価は賛否が分かれ、バンド自身も後年あまり触れたがらない作品ですが、他のどのアルバムにも似ていない独特の魅力があります。
『My Friends』
ビルボードのモダンロック・チャートとメインストリーム・ロック・チャートの両方で1位を獲得したバラード。「傷ついた友人たちのために」と歌う、まっすぐな慰めの曲です。
「Under the Bridge」の路線を引き継いだ美しい曲で、暗いアルバムのなかで一筋の光のように響きます。ボートに乗った幻想的なMVも印象的です。
『Aeroplane』
フリーの跳ねるベースが主役の、アルバムで最もポップな1曲。終盤にはフリーの娘を含む子どもたちの合唱が加わり、重いアルバムの空気を一気に明るくします。
シンクロナイズドスイミングを取り入れたMVも含めて、ナヴァロ期のなかでは最も「らしい」曲。この時期を敬遠している人にも聴いてほしい1曲です。
収録曲
- Warped
- Aeroplane
- Deep Kick
- My Friends
- Coffee Shop
- Pea
- One Big Mob
- Walkabout
- Tearjerker
- One Hot Minute
- Falling into Grace
- Shallow Be Thy Game
- Transcending
7th Album『Californication』(1999年)
1999年6月8日リリース。フルシアンテが復帰し、バンドが完全に生まれ変わった1枚です。ビルボード200で3位、全英5位。全世界で1,700万枚以上を売り上げ、レッチリの最大のヒット作となりました。
ファンクを主役の位置から下ろし、メロディとコーラスワークを中心に据えた作品。薬物依存から抜け出した直後のフルシアンテのギターは、テクニックを誇示せず、必要な音だけを丁寧に置いていくスタイルへ変化していました。その節度が、この作品を名盤にしています。
これから聴き始めるなら、最も入りやすいのはこのアルバムです。
『Scar Tissue』
ビルボードHot 100で9位、メインストリーム・ロック・チャートでは16週にわたって1位を守り、2000年のグラミー賞で最優秀ロック・ソングを受賞しました。
ゆったりしたテンポに、スライドギターの短いフレーズが乗るだけ。そのシンプルさで、傷跡を抱えたまま前に進んでいくような感触を表現しています。壊れた車で砂漠の道を走り続けるMVも、曲の空気と完璧に合っています。
『Otherside』
Hot 100で14位。ベースのリフから始まり、抑えた歌が徐々に熱を帯びていく構成の名曲です。薬物依存との戦いをテーマにした重い内容ですが、メロディは驚くほど親しみやすい。
ミュージックビデオは、絵画の中を歩き回るようなモノクロの映像。90年代末のMVのなかでも屈指の完成度で、いま観ても古びません。
『Californication』
タイトル曲。カリフォルニアという土地の華やかさと空虚さを、静かなアルペジオに乗せて描いた曲です。チャート順位は高くありませんが、バンドの代表曲としてこの曲を挙げる人は非常に多い。
当時のテレビゲームのような3D映像で、4人がロサンゼルスを駆け抜けるMVも有名です。フェスの終盤で流れると空気が一変する、そういう種類の曲です。
収録曲
- Around the World
- Parallel Universe
- Scar Tissue
- Otherside
- Get on Top
- Californication
- Easily
- Porcelain
- Emit Remmus
- I Like Dirt
- This Velvet Glove
- Savior
- Purple Stain
- Right on Time
- Road Trippin'
8th Album『By the Way』(2002年)
2002年7月9日リリース。ビルボード200で2位、全英では1位を獲得し、全世界で800万枚以上を売り上げました。プロデューサーは前作と同じリック・ルービンです。
ファンク色をさらに削り、フルシアンテの温かいギターと重層的なコーラスワークを前面に出した作品。ドゥーワップやシンセポップの影響まで取り込んでおり、「一番ファンクバンドらしくないレッチリ」と言われる1枚です。それでも、メロディの美しさではキャリア最高という評価もあります。
『By the Way』
全英2位を記録したタイトル曲。ささやくようなAメロから、爆発的なサビへ切り替わる落差が痛快です。静と動を1曲のなかで往復させる構成は、このバンドの得意技のひとつです。
タクシーに乗ったキーディスが誘拐されるという、妙に緊張感のあるMVも印象に残ります。
『Can’t Stop』
刻むようなギターのカッティングと、フリーのベースが絡み合うファンクナンバー。アルバムのなかでは最も踊れる曲で、ライブの定番曲としても外せません。
倉庫のような空間で、メンバーが日用品を積み上げたり奇妙なポーズで固まったりするMVは、現代美術の作品からの着想。曲の反復するグルーヴと映像の奇妙さが妙に噛み合っています。
『Universally Speaking』
抜けの良いポップソングで、『By the Way』の明るい側面を代表する1曲。転がるようなベースラインと、フルシアンテの甘いコーラスが心地よく響きます。
ドラムのチャド・スミスがコメディ映画のようにひたすら痛い目に遭い続けるMVも、彼らのユーモアが出ていて楽しい1本です。
収録曲
- By the Way
- Universally Speaking
- This Is the Place
- Dosed
- Don't Forget Me
- The Zephyr Song
- Can't Stop
- I Could Die for You
- Midnight
- Throw Away Your Television
- Cabron
- Tear
- On Mercury
- Minor Thing
- Warm Tape
- Venice Queen
9th Album『Stadium Arcadium』(2006年)
2006年5月リリース。CD2枚組・全28曲という大作で、バンドとして初めてビルボード200の1位を獲得しました(全英も1位)。2007年のグラミー賞では最優秀ロック・アルバムを含む複数部門を受賞しています。
ディスク1「Jupiter」とディスク2「Mars」に分かれた構成で、ファンク、バラード、サイケデリア、ハードロックまで、それまでのレッチリの全要素が詰め込まれています。長いぶん散漫という声もありますが、フルシアンテのギターが最も自由に鳴っている作品でもあります。
『Dani California』
オルタナティヴ・ソングス・チャートで14週連続1位を記録した先行シングル。過去の曲にも登場した架空の女性「ダニ」を主人公にした物語で、疾走感と哀愁が同時に押し寄せます。
MVは、メンバーがロック史上の名アーティストに次々と扮していくという趣向。60年代から現在までの流れを1本で駆け抜ける演出で、彼ら自身がロック史の一部になったことを軽やかに宣言してみせました。グラミー賞2部門を受賞した曲でもあります。
『Snow (Hey Oh)』
絶え間なく降り続けるようなギターのアルペジオが全編を貫く曲。フルシアンテのギタープレイのなかでも屈指の難曲として知られ、ギターを弾く人にとっては憧れの1曲です。
「やり直せばいい」と繰り返す歌詞は、依存症から抜け出したメンバーたちの実感そのもの。後期レッチリの代表曲として、ライブでも欠かせない存在になりました。
『Tell Me Baby』
キーディスの早口ボーカルと、粘るようなベースが引っ張るファンクナンバー。「Dani California」に続くシングルとして、こちらもオルタナティヴ・チャートの首位を獲得しました。
ロサンゼルスに集まる無名のミュージシャンや役者志望の若者たちが、オーディション形式で歌い踊るMVも味わい深い1本です。
収録曲(ディスク1「Jupiter」)
- Dani California
- Snow (Hey Oh)
- Charlie
- Stadium Arcadium
- Hump de Bump
- She's Only 18
- Slow Cheetah
- Torture Me
- Strip My Mind
- Especially in Michigan
- Warlocks
- C'mon Girl
- Wet Sand
- Hey
11th Album『The Getaway』(2016年)
2016年6月17日リリース。フルシアンテの後任だったジョシュ・クリングホッファー期の2作目で、ビルボード200・全英ともに2位を記録しました。
大きな変化は、長年組んできたリック・ルービンを離れ、プロデューサーにデンジャー・マウスを迎えたこと。生バンドの一発録りではなく、音を作り込んでいく手法に切り替わり、キーボードやループを大胆に使った現代的な質感になりました。2011年の『I’m with You』とあわせて、ファンクバンドという枠組みから最も遠くまで行った時期です。
『Dark Necessities』
先行シングルで、プロデューサーのデンジャー・マウスがこの曲を第1弾に選んだと語っています。ピアノとベースが淡々と絡み合う、大人びたグルーヴが新鮮な曲です。
スケートボードに乗る少女たちを追ったMVも印象的。派手さはありませんが、40年近く続けてきたバンドが新しい落ち着き方を見つけたことが分かる1曲で、この時期を代表する曲になりました。
収録曲
- The Getaway
- Dark Necessities
- We Turn Red
- The Longest Wave
- Goodbye Angels
- Sick Love
- Go Robot
- Feasting on the Flowers
- Detroit
- This Ticonderoga
- Encore
- The Hunter
- Dreams of a Samurai
12th Album『Unlimited Love』(2022年)
2022年4月1日リリース。2019年末にジョン・フルシアンテが復帰し、『Stadium Arcadium』以来16年ぶりに黄金期の4人が揃った作品です。ビルボード200・全英ともに1位を獲得しました。プロデューサーもリック・ルービンに戻っています。
懐かしさに寄りかからず、いまの4人が集まって出る音をそのまま提示した1枚。同年10月には、同じセッションから生まれた『Return of the Dream Canteen』も発表されており、この時期の創作意欲の高さがうかがえます。日本盤にはボーナストラック「Nerve Flip」が収録されました。
『Black Summer』
フルシアンテ復帰後の第1弾シングルで、オルタナティヴ・ソングス・チャートで通算14曲目の1位を獲得しました。ゆったりとしたテンポに、フルシアンテらしい絡みつくギターが乗る曲です。
キーディスがなぜかアイルランド訛りのような発声で歌う点も話題になりました。全盛期の再現ではなく、年齢を重ねた4人の現在地を示す1曲として聴くと味わい深い曲です。
収録曲
- Black Summer
- Here Ever After
- Aquatic Mouth Dance
- Not the One
- Poster Child
- The Great Apes
- It's Only Natural
- She's a Lover
- These Are the Ways
- Whatchu Thinkin'
- Bastards of Light
- White Braids & Pillow Chair
- One Way Traffic
- Veronica
- Let 'Em Cry
- The Heavy Wing
- Tangelo
日本との深い縁|第1回フジロックのヘッドライナー
レッチリと日本の関係は、良いことも悪いことも含めて濃密です。
まず1992年5月7日。『Blood Sugar Sex Magik』のツアーで来日していたジョン・フルシアンテは、急激な成功への違和感から限界を迎え、その日の朝には帰国を申し出ていました。バンドの説得でその夜の東京・クラブクアトロ公演には出演しましたが、その公演を最後にバンドを去ります。彼の最初の脱退は、日本のステージで起きた出来事でした。
そして1997年7月26日。日本のロックフェスの歴史を変えた第1回フジロック・フェスティバル(富士天神山スキー場)で、ヘッドライナーを務めたのがレッチリでした。この日は台風が直撃し、暴風雨のなかで行われた公演は、3万人の観客の記憶に残る伝説となりました。翌日は台風の影響で中止となり、初回のフジロックは実質1日だけの開催に終わっています。
その後も来日は重ねており、サマーソニックでは2011年と2019年にヘッドライナーを務めました。2024年5月には東京ドームで2公演を行い、「The Unlimited Love Tour」の日本公演として久々に大きな会場を埋めています。
フェス文化とともに受け入れられてきたバンドという意味で、日本のロックリスナーにとって特別な位置にいる存在です。
まとめ|まずはこの3曲から
Red Hot Chili Peppersは、「ファンクとパンクを混ぜる」という一発ネタのようなアイデアから始まり、メンバーの死や脱退を何度も越えて、40年以上ヒットを出し続けてきたバンドです。ふざけているようで、実は誰よりも切実な歌を書いてきた——そのギャップが彼らの魅力です。
これから聴き始めるなら、まずは「Under the Bridge」「Scar Tissue」「Give It Away」の3曲から。前の2曲で歌モノとしての強さ、最後の1曲でファンクバンドとしての凶暴さが分かります。この振れ幅に驚けたら、もう十分レッチリを楽しめます。
アルバムを1枚選ぶなら、聴きやすさ重視で『Californication』、バンドの全部を味わうなら『Blood Sugar Sex Magik』。そこから前後に広げていけば、ギタリストが変わるたびに音が変わっていく面白さも見えてきます。


