今日も色々なアーティストを特集するシリーズです。今回は世界中で人気のDJ、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)を紹介します。
10代でシーンの頂点に立ち、そのまま10年以上第一線を走り続けているオランダのDJ/プロデューサー。『Animals』の一発屋で終わるどころか、いまやEDMシーンを代表する存在です。
この記事では、彼を世に知らしめた初期の代表曲から、日本限定アルバム『The Martin Garrix Collection』、そして2022年の1stアルバム『Sentio』まで、順番に紹介していきます。
Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)って何者?
Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)はオランダのDJ、音楽プロデューサーです。本名はマルタイン・ヘラルド・ハリットセン。1996年5月14日、アムステルダム近郊のアムステルフェーン生まれ。
やはりオランダのDJはハイレベルですね。他にもTiësto(ティエスト)、Hardwell(ハードウェル)、Afrojack(アフロジャック)、Armin van Buuren(アーミン・ヴァン・ブーレン)、Nicky Romero(ニッキー・ロメロ)など挙げるときりがないくらい、世界的に人気のDJがいっぱいいるのがオランダです。
8歳のときにティエストがアテネ五輪の開会式でプレイする姿を見てDJを志したという逸話の持ち主。そして2013年、17歳のときに発表した『Animals』が世界的な大ヒットとなり、一夜にしてシーンの中心へ躍り出ました。恐ろしい恐ろしい。
彼の面白いところは、当てた音に居座らないことです。『Animals』のような重いビッグルーム・ハウスで名を上げたあと、すぐにボーカルを迎えた歌もの路線へ移り、さらに近年はフロア向けのクラブトラックへと軸足を戻しています。EDMバブルが弾けて多くのDJが失速するなかで生き残れたのは、この身の振り方の巧さが大きいはずです。
ライブでの評価も非常に高く、トゥモローランドやウルトラといった世界最大級のフェスでは、メインステージの最後を任される常連です。派手な演出に頼るというより、曲の並べ方と切り替えの精度で会場を持っていくタイプのDJですね。
DJ Magの人気DJランキングで5度の1位
DJ Mag(ディージェー・マグ)とは、DJ Magazineの略で、イギリスの人気クラブ・DJ専門雑誌のことです。毎年おこなわれる読者投票「Top 100 DJs」は、DJ界で最も注目されるランキングとして知られています。
Martin Garrixは2016年の投票で人気ナンバー1になっています。世界中の人気DJを抑えての一位は本当にすごいですね。しかもこのとき20歳で、史上最年少での首位獲得でした。
その後も2017年、2018年と3年連続で1位を守り、さらに2022年、2024年にも首位に返り咲いています。通算5度の1位というのは、この投票の歴史のなかでも屈指の記録です。一発当てて消えていくDJが多いこの世界で、10年にわたって上位に居続けているのが彼の凄みでしょう。
自身のレーベル「STMPD RCRDS」
デビュー当初はオランダの名門スピニン・レコードに所属していましたが、楽曲の権利をめぐる争いを経て離脱。2016年に自身のレーベル「STMPD RCRDS(スタンプド・レコーズ)」を設立しました。当時まだ19歳です。
現在は自分の作品を出すだけでなく、若手プロデューサーを多数抱えるレーベルとしても機能しています。アムステルダムには自前のスタジオも構えており、プレイヤーであると同時に、シーンを育てる側にも回っているわけです。
Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)の人気曲・アルバム
ブレイクのきっかけとなった初期の代表曲
アルバムとともにヒット曲を紹介していきたいところですが、デビュー当初の曲はアルバムに収録されていません。まずは単発シングルとして発表された初期の代表曲から紹介します。
Martin Garrix – Animals:まずはMartin Garrixの名を世界に轟かせたこの一曲。2013年に発表されたヒット曲です。ミュージックビデオがカッコいい。最後に一瞬彼が登場します。
ボーカルもメロディも無く、ひたすら重いキックとシンプルなフレーズだけで押し切る構成。当時のビッグルーム・ハウスの決定版であり、いまでもフェスでこのイントロが鳴れば会場が一斉に反応します。全英シングルチャートでも1位を獲得しました。
この曲の影響は絶大で、以降しばらくの間、世界中のフェスで「重いキックとシンプルなフレーズ」の曲が量産されることになります。ひとりの17歳がジャンルの流行そのものを作ってしまった、という点でも記憶されるべき1曲です。
Martin Garrix & Jay Hardway – Wizard:2013年作品。もはや鉄板。同じくオランダのジェイ・ハードウェイとの共作で、『Animals』と並んで初期を代表する1曲です。
Dimitri Vegas, Martin Garrix, Like Mike – Tremor:2014年作品。この曲ここ数年かなりプレイされている印象がありますね。頻繁に耳にします。ベルギーのディミトリ・ヴェガス&ライク・マイクとの共作で、フェスのメインステージ映えする1曲です。
日本限定アルバム『The Martin Garrix Collection』(2017年)
2017年4月に日本限定でMartin Garrixのアルバムが発売されました。当時はまだオリジナルアルバムが無かったため、それまでのシングルとリミックスをまとめた編集盤という位置づけです。ここからはアルバムに収録されている曲を紹介していきます。
収録曲(日本限定盤)
- Scared to Be Lonely
- In the Name of Love
- Don't Look Down (feat. Usher)
- Together
- Hold On & Believe (feat. The Federal Empire)
- Wiee (feat. MESTO)
- Sun Is Never Going Down (feat. Dawn Golden)
- Spotless
- Welcome
- Make Up Your Mind
- Don't Look Down (feat. Usher) [Club Mix]
- In the Name of Love (DallasK Remix)
- Scared To Be Lonely (Brooks Remix)
- Scared To Be Lonely (DubVision Extended Remix)
- Scared To Be Lonely (Acoustic Version)
Martin Garrix feat. Usher – ‘Don’t Look Down’(Towel Girl):2015年作品。アッシャーをフィーチャーした人気曲です。個人的にはミュージックビデオが面白くて好きなので、よかったら見てみて下さい。この曲あたりから、彼の音楽がビッグルーム一辺倒ではなく、歌ものへ広がっていきます。
Martin Garrix & Bebe Rexha – In The Name Of Love:2016年作品。個人的に結構好きでヘビロテしてます。ミュージックビデオのBebe Rexhaの真っ赤な服が美しい。ビビ・レクサの伸びのある歌声と、抑えたビートの組み合わせが絶妙で、彼のキャリアの中でも屈指のロングヒットになりました。
Martin Garrix & Dua Lipa – Scared To Be Lonely:2017年作品。当時まだブレイク前だったデュア・リパを迎えた1曲で、彼女にとっても名前が広まる大きなきっかけになりました。いま聴くと、二人の後の活躍を先取りしていたような組み合わせです。
1stアルバム『Sentio』(2022年)
2022年4月29日リリース。デビューから約10年を経て、ついに発表された正真正銘のオリジナルアルバムです。全11曲・約35分。
本人が「クラブアルバム」と呼んでいるとおり、ラジオ向けの歌ものではなく、フロアで鳴らすことを前提にした攻めた内容になっています。ゼッド、ブルックス、メスト、マティス&サドコ、ジュリアン・ジョーダンら、盟友たちとの共作がずらりと並ぶのも特徴です。
収録曲は『Follow』(with Zedd)、『Limitless』(with Mesto)、『Quantum』(with Brooks)、『Good Morning』(with Matisse & Sadko)、『Funk』(with Julian Jordan)、『Starlight (Keep Me Afloat)』(with DubVision & Shaun Farrugia)、『Aurora』(with Blinders)など。1曲ずつシングルとして先行公開し、最後にアルバムとしてまとめるという出し方も彼らしいところでした。
10年近くアルバムを出さなかったのは、彼が「シングルで勝負するDJ」だったからです。1曲ずつ配信で出し、フェスでかけて反応を見る。そのサイクルで戦ってきた人が、あえて11曲をひとまとめにして出したという事実そのものに意味がありました。
その後もEP単位での発表を続けており、『IDEM』(2024年)、『Origo』(2025年)と、コンスタントに作品を出しています。またシンガーのMaejorと組んだユニット「AREA21」でも活動しており、こちらではアニメーションのキャラクターを前面に出した、より遊び心のある音楽を鳴らしています。本名義とは別の引き出しを持っているのも強みですね。
アルバム未収録の代表曲
彼はアルバムよりもシングル単位で発表することが多いアーティストです。ここでは『The Martin Garrix Collection』にも『Sentio』にも入っていない、単発の代表曲を紹介します。
Martin Garrix & Troye Sivan – There For You:2017年作品。オーストラリアのシンガー、トロイ・シヴァンを迎えた1曲。EDMというより、上質なポップスとして聴けます。
Martin Garrix & Brooks – Byte:2017年作品。同じくオランダのブルックスとの共作で、こちらはフロア直結のインストトラックです。
Martin Garrix – Pizza:2017年作品。冒頭はバイオリンの音色がゆったりと流れ、徐々に盛り上がっていく感じ。タイトルの脱力感と中身のギャップも含めて面白い1曲です。
Martin Garrix feat. Macklemore & Patrick Stump – Summer Days:2019年作品。ラッパーのマックルモアと、フォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプという意外な組み合わせ。タイトル通り夏にぴったりの軽やかな曲で、風変わりなMVも一見の価値ありです。
Martin Garrix feat. Bono & The Edge – We Are The People:2021年作品。サッカーの欧州選手権「UEFA EURO 2020」の公式ソングとして書き下ろされた1曲で、なんとU2のボノとジ・エッジが参加しています。EDMのDJがロックの大御所と組んで大会の公式曲を作る、というのは彼の到達点を示す出来事でした。
まとめ
クラブでは鉄板となっている曲が多数あり、フロアを盛り上げるには最高な曲ばかりです。
17歳で『Animals』を当てて以降、ビッグルームから歌もの、そしてクラブトラックへと軸足を移しながら、10年以上シーンの中心に居続けてきました。DJ Magの投票で通算5度の1位という数字が、その持続力を何より物語っています。今後もハイセンスな楽曲に期待ですね。
これから聴き始めるなら、まずは『Animals』『In The Name Of Love』『Scared To Be Lonely』の3曲から。フェス寄りの音が好きなら『Sentio』を通しで聴いてみてください。
いつもタイミング悪くて彼のプレイを体験できていないので、ULTRAなどでまた日本に来た時は必ず聴きに行きたいですね。
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