今回紹介するのは、アメリカを代表する女性アーティスト、Katy Perry(ケイティ・ペリー)です。
もの凄い勢いでヒット曲を量産してきたヒットメーカーで、これまでに全米シングルチャート1位を9曲も獲得しています。しかも、そのうち5曲は『Teenage Dream』というたった1枚のアルバムから生まれたもの。これほどまでにヒットを量産したアーティストは、そう多くありません。
この記事では、2008年のメジャーデビュー作『One of the Boys』から、2024年の最新作『143』まで、スタジオアルバムを1枚ずつ順番に紹介していきます。記事の後半では、スーパーボウルのハーフタイムショーや『American Idol』の審査員、宇宙飛行といった音楽以外の話題、そして来日公演の記録もまとめました。
Katy Perry(ケイティ・ペリー)ってどんなアーティスト?
本名はキャサリン・エリザベス・ハドソン。1984年10月25日、アメリカ・カリフォルニア州サンタバーバラ生まれのシンガーソングライターです。
両親がともに牧師という家庭で育ち、幼い頃に聴いていたのはもっぱらゴスペルでした。実際、10代のうちに本名名義のゴスペルアルバム『Katy Hudson』(2001年)をリリースしています。この作品はほとんど売れませんでしたが、彼女の歌の土台がゴスペルにあることは、いまでもロングトーンの伸びやかさによく表れています。
その後、クイーンに衝撃を受けてポップスの世界を志すようになり、いくつかのレーベルを渡り歩いた末に「ケイティ・ペリー」名義で再スタート。2007年にネット上で公開した『Ur So Gay(ユーアー・ソー・ゲイ)』が話題になり、翌2008年の『I Kissed a Girl』でついに全米1位を獲得しました。
彼女の強みは、キャンディカラーの派手なビジュアルと、誰でも一度で歌えてしまうメロディの組み合わせです。一方で歌詞には、失恋や自己肯定、女性としての生きづらさといった芯のあるテーマが選ばれていることが多く、『Firework』や『Roar』のように「立ち上がるための歌」として世代を超えて聴かれている曲も少なくありません。派手さと真面目さが同居しているのが、この人の面白いところです。
Katy Perry(ケイティ・ペリー)のおすすめ曲・アルバム
ここからは、ケイティ・ペリーのスタジオアルバムをリリース順に紹介していきます。特に2ndアルバム以降は、名前を知らない人でも「これ聴いたことある!」という曲ばかりです。
メジャーデビューアルバム『One of the Boys』(2008年)
2008年6月リリースのメジャーデビュー作。全米アルバムチャート9位を記録しました。
ギターの効いたポップロック寄りのサウンドが中心で、後年のきらびやかなシンセポップとはだいぶ手触りが違います。ゴスペル出身の歌い手が、あえて悪ぶってみせるような曲を並べているのが痛快。デビュー作にして、すでに「歌詞で引っかかりを作る」という彼女の武器がはっきり出ています。
収録曲(通常盤)
- One of the Boys
- I Kissed a Girl
- Waking Up in Vegas
- Thinking of You
- Mannequin
- Ur So Gay
- Hot n Cold
- If You Can Afford Me
- Lost
- Self Inflicted
- I'm Still Breathing
- Fingerprints
Katy Perry – I Kissed A Girl:こちらは記念すべきケイティ・ペリー初の全米No.1ヒット曲です。当時としては際どいテーマで賛否を呼びましたが、その話題性ごと押し切ってしまったあたりに、この人の強さが出ています。7週連続で1位を守りました。
Katy Perry – Hot N Cold:アップテンポでノリのいい曲です。気分がころころ変わる恋人を歌った内容で、結婚式が滅茶苦茶になっていくMVも含めて、コミカルな部分が前面に出ています。全米3位を記録し、いまでもCMやテレビでよく耳にする1曲です。
超絶モンスターアルバム、2nd『Teenage Dream』(2010年)
2010年8月リリース。このアルバムから、なんと5曲もの全米No.1が生まれました。1枚のアルバムから5曲のNo.1という記録は、マイケル・ジャクソンの『Bad』に並ぶ快挙で、女性アーティストとしては史上初の出来事です。
プロデュースにはドクター・ルークやマックス・マーティンといった、当時のヒットチャートを作っていた面々が参加。シンセを前面に出したきらびやかなサウンドと、10代の夏を思わせる世界観で全編が統一されています。全米アルバムチャートでも1位を獲得しました。
キャリアの代表作であり、2010年代のポップスを語るうえで外せない1枚です。どれか1枚だけ選ぶなら、迷わずこれをおすすめします。
収録曲(通常盤)
- Teenage Dream
- Last Friday Night (T.G.I.F.)
- California Gurls (feat. Snoop Dogg)
- Firework
- Peacock
- Circle the Drain
- The One That Got Away
- E.T.
- Who Am I Living For?
- Pearl
- Hummingbird Heartbeat
- Not Like the Movies
Katy Perry – California Gurls ft. Snoop Dogg:2010年リリース。POPミュージックと90年代のウェストコーストHIP HOPが見事に融合した1曲。納得の全米No.1です。お菓子の国を舞台にしたMVも含めて、このアルバムの世界観を決定づけました。私個人的に一番好きな曲です。
Katy Perry – Teenage Dream:2010年リリース。こちらもNo.1ヒット。タイトル曲にして、アルバムのテーマそのものを歌った曲です。ポップスの教科書のようなサビの作りで、後にグラミー賞の最優秀楽曲賞にもノミネートされました。
Katy Perry – Firework:2010年リリース。こちらもNo.1ヒット。「自分の中の花火を打ち上げろ」と歌う応援歌で、卒業式や式典で使われることも多い、彼女の曲の中でも特に長く聴かれている1曲です。
Katy Perry – E.T. ft. Kanye West:2011年リリース。こちらもNo.1ヒット。カニエ・ウェストを迎えたシングル版は、重いビートとSF的な世界観で、アルバムの中では異色の存在感を放っています。
Katy Perry – Last Friday Night (T.G.I.F.):2011年リリース。これで『Teenage Dream』から合計5曲がナンバーワンヒットとなりました。おそるべし。金曜の夜のバカ騒ぎを描いたコメディ仕立てのMVには、リック・スプリングフィールドやハンソンら実在のミュージシャンが多数出演しています。
Katy Perry – Part Of Me:2012年、再編集盤『Teenage Dream: The Complete Confection』からのシングルとしてリリースされ、こちらも全米1位を獲得しました。海兵隊に入隊する女性を描いたMVが印象的で、失恋から立ち直る歌としてこの時期の彼女を象徴する曲になっています。
3rdアルバム『Prism』(2013年)
2013年10月リリース。ケイティ・ペリーの勢いは次のアルバムでも止まりません。全米アルバムチャート初登場1位を記録しました。
前作の弾けるようなポップさに比べると、こちらは少し落ち着いた大人びた作風。ラッセル・ブランドとの離婚を経て作られた作品ということもあり、傷ついた自分を立て直していくような曲が多く並びます。とはいえ湿っぽくはならず、あくまでスタジアムで映えるスケールのポップスに仕上がっているのが彼女らしいところです。
収録曲(通常盤)
- Roar
- Legendary Lovers
- Birthday
- Walking on Air
- Unconditionally
- Dark Horse (feat. Juicy J)
- This Is How We Do
- International Smile
- Ghost
- Love Me
- This Moment
- Double Rainbow
- By the Grace of God
Katy Perry – Roar:ケイティ・ペリーの曲の中でも特に人気のある楽曲です。世界各国でNo.1を記録した大ヒット曲で、ビルボードの2013年年間チャートでは10位にランクインしています。「もう黙っていない」と宣言する歌詞が明快で、スポーツ中継などでも定番になりました。
Katy Perry – Dark Horse ft. Juicy J:ビルボードではかなり長い間ランクインしていたロングヒット。じりじりと順位を上げて、最終的にはこちらも全米No.1を記録しています。2014年の年間チャートでは2位にランクインしました。トラップ的な重いビートを取り入れた、彼女の曲の中でもかなり攻めた1曲です。
Katy Perry – Unconditionally:無条件の愛を歌う壮大なバラード。歌の力だけで押し切るタイプの曲で、ゴスペルで育った彼女の地力がよく分かります。
Katy Perry – Birthday:バースデーソングに是非とも使いたい1曲。80年代のディスコを思わせる軽快なトラックで、パーティーの空気にぴったりです。
Katy Perry – This Is How We Do:気の抜けた脱力系のトラックに、日常のあるあるを並べていく歌詞が乗る、独特の1曲。カラフルなMVも含めて、肩の力を抜いて楽しめます。
4thアルバム『Witness』(2017年)
2017年6月リリース。全米アルバムチャート1位を獲得しましたが、セールスもシングルのヒットも前2作には届かず、キャリアの中では評価の分かれる作品になりました。
マックス・マーティンらに加えてジェフ・バスカーらが参加し、エレクトロ寄りのサウンドに社会的なメッセージを乗せる、という方向に踏み込んだ意欲作です。発売にあわせて4日間にわたる24時間ライブ配信を行うなど、見せ方の面でも実験的でした。いま聴き返すと、シングル曲の完成度は高く、再評価されてもいい1枚だと思います。
収録曲(通常盤)
- Witness
- Hey Hey Hey
- Roulette
- Swish Swish (feat. Nicki Minaj)
- Déjà Vu
- Power
- Mind Maze
- Miss You More
- Chained to the Rhythm (feat. Skip Marley)
- Tsunami
- Bon Appétit (feat. Migos)
- Bigger Than Me
- Save as Draft
- Pendulum
- Into Me You See
Katy Perry – Chained To The Rhythm ft. Skip Marley:アルバムから先行して発売された楽曲。さっそく大ヒットしており、さすがすぎる。そしてMVが可愛い。踊っているうちに現実から目を逸らしてしまう私たち、という皮肉を、あえて踊れるディスコ調のトラックで歌っているのが上手いところです。
Katy Perry – Bon Appétit ft. Migos:『Bad and Boujee』が大ヒットしたミーゴスをフィーチャー。面白いミュージックビデオだけど、ちょっと怖いね。髪切ってる。
Katy Perry – Swish Swish ft. Nicki Minaj:人気ラッパー、ニッキー・ミナージュをフィーチャーした楽曲。テンポが良くて、曲の展開も面白いですね。バスケットボールを題材にしたMVも遊び心たっぷりです。
5thアルバム『Smile』(2020年)
2020年8月リリース。全米アルバムチャート5位を記録しました。
タイトルどおり「もう一度笑えるようになるまで」を主題にした作品です。前作以降に経験した不調や、長女デイジー・ダヴの出産直前という時期が重なっており、それまでのアルバムに比べるとずっと個人的な内容になっています。
音楽的にはディスコやハウスの要素を取り入れた明るいトラックが多く、聴き心地は軽やか。落ち込みを歌いながら音は踊れる、という組み合わせがこのアルバムの持ち味です。派手なヒットこそ出ませんでしたが、『Never Really Over』は近年の彼女の代表曲として定着しました。
収録曲(通常盤)
- Never Really Over
- Cry About It Later
- Teary Eyes
- Daisies
- Resilient
- Not the End of the World
- Smile
- Champagne Problems
- Tucked
- Harleys in Hawaii
- Only Love
- What Makes a Woman
Katy Perry – Never Really Over:2019年にシングルとして発表され、後にこのアルバムの1曲目に収められました。「終わったはずの恋が終わっていない」という感覚を、ひたすら多幸感のあるダンストラックに乗せて歌う構成が見事。アルバムの中でもまずこの曲から聴いてほしい1曲です。
6thアルバム『143』(2024年)
2024年9月リリース。タイトルの「143」は、ポケベル時代に「I Love You」を意味する数字として使われていたものです。全米アルバムチャート6位を記録しました。
全編を通してダンスミュージックに振り切った作品で、90年代から2000年代初頭のクラブサウンドを現代的に鳴らしています。21サヴェージ、キム・ペトラス、ドーチー、JIDら、参加アーティストの顔ぶれも幅広い。
先行シングル『Woman’s World』は、その打ち出し方をめぐって議論を呼びました。ただ、アルバムを通して聴くと純度の高いダンスポップ集で、『Lifetimes』のようにライブ映えする曲が並んでいます。実際、この作品を引っさげたツアーの評判は非常に良く、アルバムの評価とライブの評価が食い違った1枚とも言えます。
収録曲(通常盤)
- Woman's World
- Gimme Gimme (feat. 21 Savage)
- Gorgeous (feat. Kim Petras)
- I'm His, He's Mine (feat. Doechii)
- Crush
- Lifetimes
- All the Love
- Nirvana
- Artificial (feat. JID)
- Truth
- Wonder
Katy Perry – WOMAN’S WORLD:アルバムの先行シングル。ロージー・ザ・リベッターに扮したMVなど、彼女らしい過剰な演出が全開です。
Katy Perry – LIFETIMES:イタロハウス調のトラックで、娘への愛情から生まれた曲だと語られています。スペインで撮影されたMVも開放感があり、後のツアータイトルにもなった重要な1曲です。
アルバム未収録の話題曲『Rise』
Katy Perry – Rise:2016年の作品で、米NBCによるリオデジャネイロ五輪中継の公式ソングとして起用されました。どのスタジオアルバムにも収録されていない単発シングルですが、彼女の「立ち上がる歌」の系譜に連なる1曲として、いまも根強い人気があります。
音楽以外の活動と私生活
スーパーボウルと『American Idol』
2015年2月1日、彼女はスーパーボウルXLIXのハーフタイムショーに出演しました。レニー・クラヴィッツとミッシー・エリオットをゲストに迎えたこのステージは、視聴者数1億1,850万人を記録し、スーパーボウル史上最も観られたハーフタイムショーとなっています。
ちなみに、このとき背後で踊っていたサメの着ぐるみのうち一方が振り付けをまったく覚えておらず、「レフト・シャーク」としてインターネットミームになりました。ステージ本編以上に語り継がれているのが、なんとも彼女らしいところです。
2018年からは、オーディション番組『American Idol』の審査員を務めました。2024年に放送されたシーズン22をもって降板するまで、7シーズンにわたって出演し、アメリカでは「歌手」としてよりも「テレビでよく見る人」として認知が広がった時期でもあります。
結婚・恋愛・家族
デビュー後にケイティ・ペリーが交際したのは、イギリスのコメディアン、ラッセル・ブランドでした。二人は2010年にインドで式を挙げたものの、結局1年ほどで破局し、2012年に離婚が成立しています。
2012年には、『The OC』や『Sons of Anarchy』などに出演していた俳優で、かつての交際相手だったジョニー・ルイスが亡くなっています。
ラッセル・ブランドと離婚した後は、ジョン・メイヤーと交際。ジョン・メイヤーと言えば、ジェシカ・シンプソンやテイラー・スウィフトなどのセレブたちと交際してきた、超モテ男。しかし、こちらも数年で破局しています。
その後、2016年から俳優のオーランド・ブルームと交際を始めました。一度は破局したものの復縁し、2019年2月14日に婚約。2020年8月には長女デイジー・ダヴが誕生しています。二人は2016年から2017年にかけての年越しを東京で過ごしており、当時は日本でも話題になりました。
ただし2025年7月、二人の代理人が関係の終了を公表しました。声明では、今後は共同で娘の子育てにあたっていくことが強調されています。
宇宙飛行、そして社会的な発言
2025年には、ブルー・オリジンの宇宙旅行フライト「NS-31」に搭乗し、実際に宇宙を体験しています。女性のみで構成されたクルーによる飛行として大きく報じられ、同時に「セレブの宇宙旅行」への批判も含めて、賛否の入り混じった話題になりました。
社会的な発言をいとわない人でもあります。2016年のアメリカ大統領選挙では、差別的な発言を繰り返していたドナルド・トランプ候補を嫌い、ヒラリー・クリントン候補を公然と支持。支持を募る活動やSNSでの発信が大きな話題を集めました。
なお、2017年頃には長かった髪をばっさり切ってベリーショートにしています。マイリー・サイラスにそっくりになったと思ったのは私だけではないはず。本人いわく、スカーレット・ヨハンソンを見て「あの髪型にしよう」と思ったとか。
ケイティ・ペリーの来日公演
直近では、2018年3月27日・28日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで『WITNESS: THE TOUR』の日本公演が開催されました。
その後しばらく来日の機会はありませんでしたが、2025年12月3日、最新作『143』を引っさげた『The Lifetimes Tour』で、約7年ぶりにさいたまスーパーアリーナのステージに立っています。1日限りの公演でしたが、キャリア全体を総ざらいするセットリストで、待ちわびていたファンには十分すぎる内容でした。
まとめ
出す曲出す曲ヒットする、世界トップクラスのヒットメーカー・ケイティ・ペリー。全米No.1シングル9曲という数字はもちろんですが、それ以上に「一度聴いたら口ずさめてしまう」曲をこれだけ量産した人は、そういません。
これから聴き始めるなら、まずは『Teenage Dream』の1枚を通しで。ここに彼女の魅力がほぼ全部詰まっています。その勢いが気に入ったら『Prism』へ、もう少し落ち着いた曲が聴きたくなったら『Smile』へ、踊りたい気分なら『143』へ——という順番がおすすめです。
公式サイトはこちら。
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