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Jamiroquai(ジャミロクワイ)のおすすめ人気曲・アルバム

※本記事にはプロモーションが含まれます。

Jamiroquai(ジャミロクワイ)は、1992年にロンドンで結成されたアシッドジャズ/ファンクバンドです。ボーカルのJay Kay(ジェイ・ケイ)を中心に、70年代のファンクやソウルの語彙を90年代のクラブミュージックに接続し、イギリスから世界へ広がっていきました。

代名詞はやはり『Virtual Insanity』。床が勝手に動く、あのミュージックビデオを一度見たら忘れられません。ただ、それだけのバンドではありません。ディジュリドゥが鳴る初期のアシッドジャズから、ディスコ、ラテン、そしてエレクトロニックまで、作品ごとに音を作り替えてきた30年以上のキャリアがあります。

この記事では、Jamiroquaiがどんなバンドなのかを整理したうえで、8枚のスタジオアルバムを発表順にたどりながら、それぞれの代表曲を1曲ずつ紹介していきます。『Virtual Insanity』しか知らない、という方にこそ読んでほしい内容です。

Jamiroquai(ジャミロクワイ)とは?

アシッドジャズのクラブから、世界的バンドへ

中心人物のJay Kayは1969年12月30日生まれ。本名はジェイソン・ルイス・チータムです。1986年にはヒップホップのシングルを出しており、各レコード会社に曲を送り続けていました。転機は1991年、ブラン・ニュー・ヘヴィーズのカバーを収めたデモテープを送ったことでAcid Jazz Recordsと契約が決まったことです。

バンド名の「Jamiroquai」は、「jam(ジャムセッション)」と、ネイティブ・アメリカンの部族連合「イロコイ(Iroquois)」の名前を少し変えたものを組み合わせた造語。Jay Kayがネイティブ・アメリカンの思想に影響を受けていたことに由来します(なお、ネイティブ・アメリカンの記者からは、その被り物や言葉の使い方について文化の盗用だという批判も受けています)。

1992年10月、デビューシングル『When You Gonna Learn』をAcid Jazz Recordsからリリース。これはレーベルへの義理と、作品に「ストリートの信用」を持たせるための判断だったといいます。当初は全英トップ50にも入りませんでしたが、この曲の評価をきっかけにメジャーからの契約が集まりました。

Jay KayはSony Soho Squareと、100万ドル・8枚のアルバムという契約を結びます。特徴的なのは、契約者はJay Kay個人だけだったこと。その上で彼は、ミュージシャンとしての貢献度に応じて印税をメンバーに分配する形をとりました。この構造が、のちの頻繁なメンバー交代の背景にもなっています。

1993年の1stアルバム『Emergency on Planet Earth』が全英1位を獲得。1996年の3rd『Travelling Without Moving』でアメリカでもブレイクし、『Virtual Insanity』のミュージックビデオが世界的な現象になります。以降『Synkronized』(1999年)『A Funk Odyssey』(2001年)と全英1位を重ね、7年のブランクを経た『Automaton』(2017年)まで、Jay Kayを唯一の不動のメンバーとして続いてきました。

メンバー

ボーカルJay Kay(ジェイ・ケイ)1992年〜
ドラムスDerrick McKenzie(デリック・マッケンジー)1994年〜
ギターRob Harris(ロブ・ハリス)2000年〜
キーボードMatt Johnson(マット・ジョンソン)2002年〜
ベースPaul Turner(ポール・ターナー)2005年〜
バックボーカルValerie Etienne、Hazel Fernandez(ともに2001年〜)
ドラムス(元)Nick Van Gelder(1992〜1994年)
ベース(元)Stuart Zender(1992〜1998年)/Nick Fyffe(1998年〜)
ディジュリドゥ(元)Wallis Buchanan(1992〜2000年)
キーボード(元)Toby Smith(1992〜2002年/2017年没)
パーカッション(元)Sola Akingbola(1994〜2025年)
ギター(元)Simon Katz(1995〜2000年)

初期の音を決めた最重要人物は、キーボードのToby Smithです。Jay Kayのマネージャーがスカウトし、共作者として初期のほぼすべての代表曲を一緒に書きました。2002年に家族との時間を優先して脱退し、2017年に亡くなっています。

もう1人挙げるべきはベースのStuart Zender。オーディションで加入し、その演奏はマーカス・ミラーと比較されました。『Synkronized』の録音中に脱退しており、初期3枚の分厚いグルーヴは彼の手によるものです。ドラムのDerrick McKenzieはオーディションでワンテイクで録り切ったという逸話の持ち主。ディジュリドゥのWallis Buchananの存在も、初期のJamiroquaiを唯一無二にしていました。

数字で見るJamiroquai

全世界でのアルバム総売上は2,600万枚以上。1990年代のイギリス勢としては、スパイス・ガールズとオアシスに次ぐ3番目に売れたアクトでした。

3rdアルバム『Travelling Without Moving』は世界で800万枚以上を売り上げ、「史上最も売れたファンク・アルバム」としてギネス世界記録に認定されています。全英1位のアルバムは『Emergency on Planet Earth』『Synkronized』『A Funk Odyssey』の3枚。シングルでは『Deeper Underground』(1998年)が唯一の全英1位です。

受賞歴では、1998年のグラミー賞で『Virtual Insanity』が最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオ/グループ)を受賞。同年は最優秀ポップ・アルバムにもノミネートされました。ブリット・アワードには通算15回ノミネートされ、1999年にはアイヴァー・ノヴェロ賞の「Outstanding Song Collection」を受賞しています。

そして『Virtual Insanity』のミュージックビデオは、1997年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで10部門にノミネートされ、最優秀視覚効果賞・最優秀撮影賞・最優秀ブレイクスルー・ビデオ賞、そして最高賞の最優秀ビデオ賞(Video of the Year)の4冠を達成しました。

Jamiroquaiのおすすめ曲・アルバム

それでは、デビュー作から順番におすすめの曲を紹介していきます。スタジオアルバムは全8枚。作品ごとに音の方向がはっきり変わるので、順に追うと変化がよく分かります。

1st Album『Emergency on Planet Earth』(1993年)

1993年6月14日リリース。Jay Kay、Toby Smith、Stuart Zenderがバンドを組み上げていく過程でそのまま録音された作品で、アシッドジャズを土台に、幾層にも重ねた楽器と社会的なメッセージが特徴です。

全英アルバムチャートで1位を獲得し、世界で120万枚以上を売り上げました。批評も好意的で、70年代的な佇まいが評価されています。環境問題を前面に打ち出したコンセプトはメディアの注目を集めましたが、「スローガンが音の洗練に対して粗い」という批判もありました。

ディジュリドゥ、フルート、ホーン、ストリングス——のちの整理された音とはまったく違う、雑多で生々しいアンサンブルが聴きどころです。

『When You Gonna Learn』

1992年10月にAcid Jazz Recordsから出たデビューシングル。1993年9月にSonyから再リリースされ、アルバムの先行シングルになりました。

歌詞のテーマは環境意識と、歯止めのない資本主義への批判。初期Jamiroquaiの主題そのものです。ミュージックビデオは当初の編集版がMTVで放送禁止になったという逸話も残っています。ちなみに、この曲の制作でプロデューサーと歌詞を半分削られるほど衝突した経験が、Jay Kayに「ちゃんとした生バンドの、ちゃんとした生の音が欲しい」と決意させました。Jamiroquaiというバンドの出発点になった曲です。

『Too Young to Die』

1993年3月リリースの2枚目のシングル。全英シングルチャートで10位を記録し、フランス、アイスランド、オランダ、スウェーデン、スイスでもトップ50に入りました。作曲はJay KayとToby Smith。

批評家はここでJay Kayの歌声をスティーヴィー・ワンダーと比較しました。原型のバージョンは10分18秒もあり、シングル版で3分22秒、アルバム版で6分5秒に切り詰められています。ミュージックビデオはニューメキシコで撮影されました。

収録曲

  1. When You Gonna Learn (Digeridoo)
  2. Too Young to Die
  3. Hooked Up
  4. If I Like It, I Do It
  5. Music of the Mind (instrumental)
  6. Emergency on Planet Earth
  7. Whatever It Is, I Just Can't Stop
  8. Blow Your Mind
  9. Revolution 1993
  10. Didgin' Out (instrumental)

2nd Album『The Return of the Space Cowboy』(1994年)

1994年10月17日リリース。デビュー作の路線を引き継ぎながら、楽曲の構造がぐっと複雑になった2作目です。理由の一つは、制作の中盤でJay Kayが創作の行き詰まりに陥ったこと。当時進行していた薬物の使用がそれを悪化させていました。

歌詞が扱うのは、ストリートの生活、希望、喪失、そして自身のドラッグ使用。ネイティブ・アメリカンをめぐる問題や若者の抗議運動といった社会的な主題も並びます。

全英2位でプラチナ認定、世界で130万枚を売り上げました。シングルは『Half the Man』が全英15位、『Stillness in Time』が9位。アメリカではダンスチャートで『Space Cowboy』が1位、『Light Years』が6位を記録しています。初期3枚のなかでは最も「ジャズ寄り」で、腰を据えて聴きたい一枚です。

『Space Cowboy』

1994年9月26日リリース、国際的な先行シングル。全英17位、イタリア6位、アイスランド3位。そしてアメリカのビルボード・ホット・ダンス・クラブ・プレイで初の1位を獲得しました。2006年6月には全英ダンスチャートで再び1位に返り咲いています。

ミュージックビデオはモーションコントロール撮影を使い、青い部屋で複数のJay Kayとメンバーが演奏するという映像。デヴィッド・モラレスによるリミックスが収録されたことで、クラブでの流通がさらに広がりました。夜に似合う、浮遊感のあるグルーヴが絶品です。

『Half the Man』

全英シングルチャートで15位を記録したバラード。派手さを削ぎ落とし、ピアノとストリングスを中心にJay Kayの歌をまっすぐ聴かせる曲です。

Jamiroquaiというと踊れる曲の印象が強いですが、こういう静かな曲での歌の説得力もこのバンドの武器。ファンクバンドとしてだけ捉えていると見落としてしまう一面です。

収録曲

  1. Just Another Story
  2. Stillness in Time
  3. Half the Man
  4. Light Years
  5. Manifest Destiny
  6. The Kids
  7. Mr. Moon
  8. Scam
  9. Journey to Arnhemland (instrumental)
  10. Morning Glory
  11. Space Cowboy

3rd Album『Travelling Without Moving』(1996年)

日本では1996年8月28日、イギリスでは9月9日リリース。バンドの代表作であり、アメリカでのブレイク作でもあります。Jay Kayはこのアルバムをより普遍的な作品にしようと考え、「車、人生、愛」を軸に据えました。

批評は、それまでより焦点が定まって洗練されたと評価する声が多数。一方で歌詞を酷評したり、既存の音楽の焼き直しだと見る意見もありました。スポーツカーを前面に出したビジュアル面のコンセプトは、Jay Kayが公言してきた環境保護の立場と矛盾するとして批判も受けています。

全英2位、そしてビルボード200に初登場(24位)。世界で800万枚以上を売り上げ、「史上最も売れたファンク・アルバム」としてギネス世界記録に認定されました。何から聴くか迷ったら、まずこの1枚です。

『Virtual Insanity』

1996年8月19日リリースの2枚目のシングル。作曲はJay KayとToby Smith、プロデュースはAl Stone。アイスランドで1位、全英3位、アメリカではモダン・ロック・トラックで38位を記録し、彼らのアメリカでの最大級のヒットになりました。1998年のグラミー賞で最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオ/グループ)を受賞しています。

そして何より、ジョナサン・グレイザー監督によるミュージックビデオ。床が生きているように動き、その上でJay Kayが滑るように歩き回るという一発アイデアの映像が、1997年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで10部門ノミネート・4部門受賞(最優秀ビデオ賞を含む)という結果を残しました。後年にはインターネットミームとしても再流行しています。歌詞のテーマはテクノロジーへの過度な依存で、90年代の曲としては驚くほど先を見ていました。

『Cosmic Girl』

1996年11月25日リリース。全英6位、イタリア3位、アイスランド4位、アメリカのダンス・クラブ・プレイで7位。作曲はJay Kayとドラマーのデリック・マッケンジーで、プロデュースはJay KayとAl Stoneです。

軽やかに疾走する、Jamiroquaiでいちばん多幸感のある曲。ミュージックビデオはエイドリアン・モート監督でスペインで撮影され、フェラーリやランボルギーニが走り回る内容。Jay Kayの車好きがそのまま映像になっています。踊れる1曲を選ぶならこれです。

『Alright』

1997年4月28日リリースの3枚目のシングル。全英6位、アイスランド2位。そしてビルボードのシングルチャート(Hot 100)に入った唯一の曲で、78位を記録しました。

エディ・ハリスの『It’s All Right Now』とアイドリス・ムハマッドの『Could Heaven Ever Be Like This』をサンプリングした、生粋のジャズファンク。ミュージックビデオはヴォーン・アーネル監督で、パーティ会場で演奏するバンドの姿が映されます。元ネタを辿ると、このバンドの出自がよく見えてくる曲です。

収録曲

  1. Virtual Insanity
  2. Cosmic Girl
  3. Use the Force
  4. Everyday
  5. Alright
  6. High Times
  7. Drifting Along
  8. Didjerama (Instrumental)
  9. Didjital Vibrations (Instrumental)
  10. Travelling Without Moving
  11. You Are My Love
  12. Spend a Lifetime
  13. Do You Know Where You're Coming From (M-Beat featuring Jamiroquai, bonus track)
  14. Funktion (Hidden track)

4th Album『Synkronized』(1999年)

1999年6月8日にアメリカ、6月14日にイギリスでリリース。録音中に創設メンバーのベーシストStuart Zenderが脱退し、代わりにNick Fyffeが加入するという大きな変化のなかで作られた作品です。

音楽的にはファンク、アシッドジャズ、そしてディスコの要素が混ざり、初期の雑多さは整理されてタイトになりました。全英アルバムチャートで1位、ビルボード200で28位。

イギリス盤にはボーナストラックとして『Deeper Underground』が収録されています。前年にシングルとして発表され、バンド唯一の全英1位を記録した曲です。

『Canned Heat』

1999年5月24日リリースの先行シングル。アメリカのダンス・クラブ・プレイで2度目の1位を獲得し、全英4位を記録しました。ミュージックビデオはヨナス・オーカールンド監督です。

「踊らないと死んでしまう」と歌う、ディスコ寄りの高揚感が全開の曲。2004年の映画『ナポレオン・ダイナマイト』のクライマックスのダンスシーンで使われたことで、リリースから何年も経ってから新しい世代に届き直しました。

『Deeper Underground』

1998年の映画『GODZILLA』のサウンドトラックのための曲。日本では1998年5月20日に先行リリースされ、イギリスではその2か月後。バンド唯一の全英1位シングルになりました。作曲はJay KayとToby Smith、プロデュースはRick Popeです。

それまでの陽性のファンクとは打って変わって、重く暗いストリングスと切迫したビートで押していく曲。映画の主題歌という要請にきっちり応えつつ、バンドの表現の幅を広げた1曲でした。創設メンバーのStuart Zenderが参加した最後の曲のひとつでもあります。

収録曲

  1. Canned Heat
  2. Planet Home
  3. Black Capricorn Day
  4. Soul Education
  5. Falling
  6. Destitute Illusions
  7. Supersonic
  8. Butterfly
  9. Where Do We Go from Here?
  10. King for a Day

5th Album『A Funk Odyssey』(2001年)

日本では2001年8月29日、イギリスでは9月3日、アメリカでは9月11日にリリース。ディスコを軸に、ラテン音楽の影響を大胆に取り込んだ作品です。

ここからギターのRob Harrisが参加。批評家は彼のプレイが「ときに贅沢なオーケストレーションを含むミックスに、官能的に溶け込んでいる」と評しました。全英1位を獲得し、ビルボード200では44位。

そしてこれが、キーボードのToby Smithが参加した最後のアルバムになります。翌年、彼は家族との時間を優先してバンドを離れました。初期からの中核だった作曲パートナーがいなくなる、区切りの一枚です。

『Little L』

日本で2001年8月8日、イギリスで8月13日にリリースされた先行シングル。スペインで1位、イタリア2位、全英・フィンランド・ポルトガルで5位。アメリカのダンス・クラブ・プレイでは2位を記録しました。

作曲はJay KayとToby Smith。当時の恋人だったデニス・ヴァン・アウテンとの別れが着想元で、仕事の予定が合わないことが原因の破局でした。跳ねるようなディスコのビートと、歌われている内容の落差がこの曲の面白さです。

『Love Foolosophy』

3枚目のシングル。全英14位、オーストラリア・イタリア・スペインでトップ20入りしました。作曲はJay KayとToby Smithです。

タイトルは「fool(愚か者)」と「philosophy(哲学)」を掛けた造語で、「恋に振り回される愚か者」を表現したもの。ホーンが跳ねる、Jamiroquaiらしいポップな1曲。難しいことを考えずに流しておける、間口の広さがあります。

収録曲

  1. Feel So Good
  2. Little L
  3. You Give Me Something
  4. Corner of the Earth
  5. Love Foolosophy
  6. Stop Don't Panic
  7. Black Crow
  8. Main Vein
  9. Twenty Zero One
  10. Picture of My Life

6th Album『Dynamite』(2005年)

日本では2005年6月15日、イギリスで6月20日、オーストラリアで7月21日、アメリカで9月20日にリリース。2002年に加入したキーボードのMatt Johnsonが初めて参加したアルバムです。

変わっているのは、これがJamiroquai唯一の「正式なベーシストがいないアルバム」だということ。Nick Fyffeが録音前に脱退し、Paul Turnerが加入したのは完成・発売のあとでした。

全英3位。批評家からは「よりハードなデジタルの手触り」「重いビート、加工されたギター、奇妙なデジタルの質感で、他作より有機的でない」と評されました。生バンドの厚みで押していた初期とは、意図的に距離を取った作品です。

『Feels Just Like It Should』

先行シングル。プロデュースはMike SpencerとJay Kay。アメリカのダンスチャートで4度目の1位を獲得し、全英8位を記録しました。第48回グラミー賞では最優秀ショートフォーム・ミュージックビデオ賞にノミネートされています。

面白いのは成立の経緯です。この曲の土台になっているベースラインは、Jay Kayがビートボックスをしながら作ったもの。もともとは2001年の『A Funk Odyssey』に入れるインタールードの一部でしたが、最終盤では落とされ、テストプレス盤にだけ残っていたそうです。それが4年後に1曲へ育ちました。

『Seven Days in Sunny June』

2枚目のシングルで、全英14位。作曲はJay Kayと、加入したばかりのMatt Johnsonです。

デジタル寄りのアルバムのなかで、この曲だけはバンドの名を上げた初期のアシッドジャズへの回帰と評されました。タイトルどおり、初夏の風通しのいい曲。夏に聴く1曲を選ぶならこれです。

収録曲

  1. Feels Just Like It Should
  2. Dynamite
  3. Seven Days in Sunny June
  4. Electric Mistress
  5. Starchild
  6. Love Blind
  7. Talullah
  8. (Don't) Give Hate a Chance
  9. World That He Wants
  10. Black Devil Car
  11. Hot Tequila Brown
  12. Time Won't Wait

7th Album『Rock Dust Light Star』(2010年)

2010年11月1日、イギリスでUniversal Music/Mercury Recordsからリリース(アメリカでは2012年4月24日)。Sonyとの長い契約を離れ、レーベルを移して発表された作品です。

音の方向は、デイリー・テレグラフ紙が「カリフォルニア風の70年代ファンクロック」と表した通り。前作のデジタル路線から一転して、生の演奏の質感に戻ってきました。バンドのアンサンブルを聴きたい人にはむしろ嬉しい一枚です。

『White Knuckle Ride』

2010年10月31日に配信リリースされた先行シングル。作曲はJay KayとMatt Johnson、プロデュースはJay Kay。Mercury Recordsからの初のリリースでした。全英39位、アメリカのホット・ダンス・クラブ・ソングスで7位。

バンド自身はこの曲を「Jay自身のキャリアの経験を高速で振り返るもの。この圧力鍋のような時代に生きる誰にとっても当てはまる警告の物語」と説明しています。なお全英39位という記録は、2025年時点で彼らの最後の全英トップ40ヒットになっています。

収録曲

  1. Rock Dust Light Star
  2. White Knuckle Ride
  3. Smoke and Mirrors
  4. All Good in the Hood
  5. Hurtin'
  6. Blue Skies
  7. Lifeline
  8. She's a Fast Persuader
  9. Two Completely Different Things
  10. Goodbye to My Dancer
  11. Never Gonna Be Another
  12. Hey Floyd

8th Album『Automaton』(2017年)

2017年3月31日、Virgin EMIからリリース。前作から7年ぶりという長いブランクを経た復帰作です。プロデュースはJay Kayとキーボードのマット・ジョンソン。

イタリアで1位、スイス2位、フランス3位、全英4位。批評家は「彼らの代名詞といえるサウンドを、EDMやソウル、トラップの要素と慎重に釣り合わせている」と評しました。別の評では「かつてはホーン、フルート、ディジュリドゥ、ストリングスへと溢れ出していたアレンジが、いまはフレンチ・ハウスに近づいている」とも。

初期のアシッドジャズを期待すると驚く音ですが、「時代の音を取り込んで作り替える」という点ではデビュー以来まったく変わっていません。

『Automaton』

2017年1月27日リリースの先行シングル。フランス36位、日本61位、アメリカのダンス/エレクトロニック・ソングスで31位を記録しました。

ボコーダーで加工した声が全面に出た、機械化への警戒を歌う曲。『Virtual Insanity』でテクノロジーへの依存を歌った20年後に、同じ主題をまったく違う音でやり直した——という読み方ができる曲です。Jay Kayが被る光るヘッドドレスも話題になりました。

『Cloud 9』

アルバムからの2枚目のシングル。「Cloud 9」は英語で「有頂天」を意味する言い回しです。

アルバムのなかではいちばん往年のJamiroquaiに近い、伸びやかなミディアム。エレクトロニックな装いをまといながら、根っこはやはりソウルとファンクだと分かる曲です。近年の作品から1曲だけ聴くなら、これを推します。

収録曲

  1. Shake It On
  2. Automaton
  3. Cloud 9
  4. Superfresh
  5. Hot Property
  6. Something About You
  7. Summer Girl
  8. Nights Out in the Jungle
  9. Dr Buzz
  10. We Can Do It
  11. Vitamin
  12. Carla

日本先行リリースが続いたバンド

Jamiroquaiのディスコグラフィを日付まで見ていくと、あることに気づきます。主要な作品が、たびたび日本で世界より先に発売されているのです。

  • 『Travelling Without Moving』… 日本 1996年8月28日/イギリス 9月9日
  • 『Deeper Underground』(シングル)… 日本 1998年5月20日/イギリスはその2か月後
  • 『Little L』(シングル)… 日本 2001年8月8日/イギリス 8月13日
  • 『A Funk Odyssey』… 日本 2001年8月29日/イギリス 9月3日/アメリカ 9月11日
  • 『Dynamite』… 日本 2005年6月15日/イギリス 6月20日/オーストラリア 7月21日/アメリカ 9月20日

数日から数か月の差ですが、代表作から後年の作品まで一貫して日本が先、というのは珍しい扱いです。とくに『Dynamite』は、アメリカでの発売より3か月以上早く日本で買えたことになります。

アメリカでビルボードのシングルチャートに入ったのが『Alright』の78位だけ、という事実と並べると、このバンドの重心がどこにあったかが見えてきます。イギリスとヨーロッパ、そして日本を含むアジア——Jamiroquaiは「全米で勝つ」タイプの成功をしたバンドではありませんでした。それでも世界で2,600万枚を売っているのですから、市場ごとの相性というのは面白いものです。

もうひとつ、Jay Kayを語るなら車の話は外せません。高級車の収集家として知られ、イギリスの自動車番組『トップ・ギア』『フィフス・ギア』にも出演しています。『Cosmic Girl』のミュージックビデオでフェラーリやランボルギーニを走らせているのは、そのままの趣味です。一方で環境保護の活動にも関わっており、この矛盾は『Travelling Without Moving』のスポーツカー路線が批判された当時から指摘されてきました。トレードマークの大きな帽子とあわせて、良くも悪くも語られ続けているフロントマンです。

まとめ|まずはこの3曲から

Jamiroquaiは、70年代のファンクやソウルの語彙を、その時代のダンスミュージックへ翻訳し続けてきたバンドです。アシッドジャズ、ディスコ、ラテン、エレクトロニック——入り口は変わっても、根っこにあるグルーヴは30年以上変わっていません。

最初に聴くなら、この3曲をおすすめします。

  • 『Virtual Insanity』(1996年)… 言うまでもない代表曲。まずは動くフロアのMVを観てください。
  • 『Cosmic Girl』(1996年)… 多幸感で押し切る1曲。踊れるJamiroquaiはこちら。
  • 『Space Cowboy』(1994年)… 初期のジャズ寄りの浮遊感。夜に聴くならこれです。

アルバムから入るなら、迷わず『Travelling Without Moving』(1996年)。ギネス記録を持つ代表作で、有名曲がまとまっています。そこが気に入って「もっとジャズっぽいものを」と思ったら『The Return of the Space Cowboy』(1994年)へ、「もっと踊れるものを」なら『A Funk Odyssey』(2001年)へ。近年の音を聴きたい場合は『Automaton』(2017年)から遡るのが分かりやすいはずです。

90年代のイギリス勢や、ファンク/ソウル系の名曲もあわせてどうぞ。