今回は、アメリカを代表する女性アーティストBeyoncé(ビヨンセ)のおすすめ人気曲・アルバムを紹介します。
テキサス州ヒューストン出身のR&Bシンガーで、グループ「デスティニーズ・チャイルド」時代を含めれば、20年以上にわたって世界の音楽シーンの中心に立ち続けてきた人です。パワフルな歌声と圧倒的なダンス・パフォーマンス、そしてアルバムごとに音楽性を大胆に更新していく姿勢が、彼女を単なるヒットメーカー以上の存在にしています。
この記事では、2003年のソロデビュー作『Dangerously in Love』から、ハウスに振り切った『Renaissance』、カントリーに挑んだ『Cowboy Carter』まで、スタジオアルバムを1枚ずつ順番に解説していきます。記事の後半では、デスティニーズ・チャイルド時代のヒット曲や、グラミー賞の記録、来日公演の歴史もまとめました。
Beyoncé(ビヨンセ)ってどんなアーティスト?
Beyoncé(ビヨンセ)は、1981年9月4日にアメリカ・テキサス州ヒューストンで生まれたシンガーソングライター/プロデューサーです。本名はビヨンセ・ジゼル・ノウルズ=カーター。幼い頃から地元のタレントショーに出場し、その延長線上で結成されたグループが、のちのデスティニーズ・チャイルドでした。
グループは1990年にヒューストンで「Girl’s Tyme」として活動を始め、1996年にデスティニーズ・チャイルドと改名。2ndアルバム『The Writing’s on the Wall』(1999年)で一気にブレイクし、「Bills, Bills, Bills」「Say My Name」「Independent Women Part I」「Bootylicious」と4曲の全米No.1を送り出しました。メンバーチェンジを経てビヨンセ、ケリー・ローランド、ミシェル・ウィリアムスの3人体制となり、グループとしての通算セールスは全世界6,000万枚を超えています。
グループが活動休止に入るなか、ビヨンセは2003年にソロデビュー。以降はソロアーティストとして完全に独立し、デスティニーズ・チャイルドは2006年に解散しました。とはいえ縁が切れたわけではなく、2013年のスーパーボウル・ハーフタイムショー、2018年のコーチェラ、そして2025年の「Cowboy Carter Tour」最終公演と、節目ごとにサプライズで再結成しています。
彼女の最大の武器は、やはり声そのものです。低音から一気に駆け上がるロングトーン、細かく刻むメリスマ、地声で押し切るシャウト——どれを取っても一級品で、しかもそれをフルコーラスのダンスと同時にやってのけます。加えて近年は、自分のルーツやアメリカ音楽の歴史をアルバムのテーマに据える作家性が際立ってきました。ハウス/ボールルーム文化を掘り下げた『Renaissance』、カントリーにおける黒人音楽家の貢献を掘り起こした『Cowboy Carter』はその代表例です。
私生活では、2008年4月4日に大物ラッパー&実業家のJAY-Zと結婚。長年の交際を経た、ごく内輪の式だったと伝えられています。2012年1月7日に長女ブルー・アイヴィー、2017年6月に双子のルミとサーが誕生しました。夫婦名義のユニット「The Carters」としてアルバム『Everything Is Love』(2018年)を発表するなど、音楽面でも共作を重ねています。
Beyoncé(ビヨンセ)のおすすめ曲・アルバム
ここからは、ビヨンセのソロ・スタジオアルバムをリリース順に紹介していきます。8枚すべてが全米アルバムチャート(Billboard 200)で初登場1位を記録しており、女性アーティストとしてソロ8作連続で首位デビューを果たしたのは彼女が初めてです。
1stアルバム『Dangerously in Love』(2003年)
2003年6月にリリースされたソロデビュー作。デスティニーズ・チャイルドの活動と並行して制作された作品で、初週31万7,000枚を売り上げて全米アルバムチャート初登場1位を獲得しました。グループ時代のイメージを引きずらず、いきなり一人のディーヴァとして成立させてしまったのがこのアルバムのすごいところです。
先行シングル「Crazy in Love」はJAY-Zを迎えたアップテンポなナンバーで、チ・ライツ「Are You My Woman (Tell Me So)」のホーンをサンプリングしたイントロが強烈なフックになっています。この年を象徴する1曲と言っていいでしょう。続く「Baby Boy」「Me, Myself and I」「Naughty Girl」も次々にヒットし、翌2004年の第46回グラミー賞では最優秀コンテンポラリーR&Bアルバム賞を含む5部門を制しました。
収録曲(通常盤)
- Crazy in Love (feat. Jay-Z)
- Naughty Girl
- Baby Boy (feat. Sean Paul)
- Hip Hop Star (feat. Big Boi & Sleepy Brown)
- Be with You
- Me, Myself and I
- Yes
- Signs (feat. Missy Elliott)
- Speechless
- That's How You Like It (feat. Jay-Z)
- The Closer I Get to You (with Luther Vandross)
- Dangerously in Love 2
- Beyoncé Interlude
- Gift from Virgo
- Daddy
下の映像はライブ版です。公式MVではJAY-Zのラップが入りますが、ライブ映像のため本人は登場しません。それでも成立してしまうあたりに、ビヨンセの地力が出ています。
Beyoncé – Baby Boy ft. Sean Paul:当時人気絶頂だったダンスホール・レゲエの雄ショーン・ポールとのコラボ曲。全米シングルチャートで9週連続1位を記録した、アルバム最大のヒットです。巷でヘビロテされていた記憶があります。
Beyoncé – Me, Myself and I:上の2曲に比べるとよりR&B色の強い楽曲です。というか90年代の流れを汲んでいるな、という感じです。裏切られた恋人に別れを告げ、自分自身を信じると歌う内容で、のちの「Irreplaceable」にも通じるテーマになっています。
2ndアルバム『B’Day』(2006年)
自身の誕生日に合わせて2006年9月に発表された2作目。映画『ドリームガールズ』の撮影を終えた直後、わずか3週間ほどで一気に作り上げたと語られている作品で、その勢いがそのまま音になっています。全米アルバムチャート初登場1位、第49回グラミー賞では最優秀コンテンポラリーR&Bアルバム賞を受賞しました。
ホーンとドラムを前面に押し出したファンク寄りのサウンドが基調で、1stの華やかさとは手触りが違います。先行シングル「Déjà Vu」からいきなりバンドのグルーヴで押してくる構成で、アルバム全体に緊張感があります。
収録曲(通常盤)
- Déjà Vu (feat. Jay-Z)
- Get Me Bodied
- Suga Mama
- Upgrade U (feat. Jay-Z)
- Ring the Alarm
- Kitty Kat
- Freakum Dress
- Green Light
- Irreplaceable
- Resentment
Beyoncé – Deja Vu ft. JAY-Z:こちらもJAY-Zとのコラボ曲。イントロからカッコイイ。ベースとホーンが絡むアレンジの上で、パワフルな歌唱とJAY-Zのラップがぶつかり合います。
Beyoncé – Irreplaceable:全米シングルチャートで10週連続1位を記録し、2007年の年間チャートでも1位を獲得した大ヒット曲です。「左に、左に(to the left)」のフレーズで男を追い出す歌詞と、アコースティックギター主体の落ち着いたトラックの対比が絶妙。彼女の代表曲の一つと言えるでしょう。
なお、次に紹介する「Listen」と「Beautiful Liar」は通常盤ではなく、デラックス盤に収録された楽曲です。CDで揃えるならデラックス盤を選ぶのがおすすめです。
Beyoncé – Listen:この曲はそこまでのヒットを記録していませんが、ビヨンセの歌唱力が存分に味わえるおすすめの1曲です。個人的には一番好きな曲です。曲後半は魂が震えるような圧倒的な歌声で、感動すら覚えます。映画『ドリームガールズ』の劇中歌で、ビヨンセはディーナ・ジョーンズというグループのメンバーを演じています。同作でゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされました。
Beyoncé, Shakira – Beautiful Liar:南米やヨーロッパ、北米などで絶大な人気を誇るシャキーラとのコラボ曲です。各国でNo.1を記録したヒット曲で、MVはセクシーかっこいいので一見の価値ありです。中東風のリズムに乗せた振り付けを完全に物にしているビヨンセはさすがですね。
3rdアルバム『I Am… Sasha Fierce』(2008年)
2008年11月リリース。「I Am…」=素顔のビヨンセによるバラード集と、「Sasha Fierce」=ステージ上の別人格によるアップテンポ集という、2枚組のコンセプトアルバムです。実際に聴くと、ディスク1のしっとりしたバラードとディスク2のクラブ寄りのトラックがまったく別の作品のようで、この割り切りが功を奏しました。
初週48万2,000枚を売り上げて全米アルバムチャート1位。「Single Ladies (Put a Ring on It)」「If I Were a Boy」「Halo」と代表曲が固まっている、キャリアで最もヒット曲の密度が高い1枚です。2010年の第52回グラミー賞では、この作品と収録曲で一夜に6部門を受賞し、女性アーティストの1夜あたり最多受賞記録を更新しました。
収録曲(通常盤 Disc 1「I Am…」)
- If I Were a Boy
- Halo
- Disappear
- Broken-Hearted Girl
- Ave Maria
- Satellites
収録曲(通常盤 Disc 2「Sasha Fierce」)
- Single Ladies (Put a Ring on It)
- Radio
- Diva
- Sweet Dreams
- Video Phone
Beyoncé – If I Were A Boy:「もし自分が男だったら」という仮定から恋愛のすれ違いを描いたミディアムバラード。モノクロのMVで男女の立場を入れ替えて見せる演出も含め、彼女のバラード路線を代表する1曲です。
Beyoncé – Single Ladies (Put a Ring on It):アップテンポで思わず踊りたくなるような曲です。ビヨンセの曲の中でも特に人気のある楽曲で、ヘビーローテーションされていた記憶があります。白黒のスタジオでダンサー3人が踊り続けるだけのMVは世界中で真似され、第52回グラミー賞では最優秀楽曲賞(Song of the Year)を受賞しました。
Beyoncé – Halo:こちらも同様にビヨンセの代表曲と言える楽曲です。心に染みるような曲ですね。ゴスペル的な高揚感を持つサビは、その後もライブのハイライトとして歌い継がれています。
Beyoncé – Sweet Dreams:クラブシーンではヘビロテされていた記憶がありますね。エレクトロ寄りのシンセと硬質なビートで、「Sasha Fierce」側のカラーが最もはっきり出た曲です。
4thアルバム『4』(2011年)
2011年6月リリース。父親でありマネージャーでもあったマシュー・ノウルズとの契約を解消し、自らのマネジメント体制で作った最初のアルバムです。売れ線のシングルを並べるのではなく、70〜90年代のソウル/R&Bを下敷きにした生演奏中心の作りになっており、キャリアの転換点として語られることの多い1枚です。
発表当時はチャート成績が控えめだったこともあり評価が割れましたが、時間が経つにつれ再評価が進み、現在ではファンからの人気が非常に高い作品になっています。「Love On Top」は2013年の第55回グラミー賞で最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス賞を受賞しました。
収録曲(通常盤)
- 1+1
- I Care
- I Miss You
- Best Thing I Never Had
- Party (feat. André 3000)
- Rather Die Young
- Start Over
- Love On Top
- Countdown
- End of Time
- I Was Here
- Run the World (Girls)
Beyoncé – Run the World (Girls):すごい勢いを感じる曲ですね。(なんだその感想は)メジャー・レイザー「Pon de Floor」をサンプリングした、サウンド的にはヒップホップ/ダンスホール色強めのトラック。ガールズヒップホップのダンスにも使えそうです。
Beyoncé – Best Thing I Never Had:MVが結婚式だからうっかり結婚式に使いたくなるけど、歌詞は「あなたと別れて正解だった」という内容でした。使う前に歌詞を確認しましょう。
Beyoncé – Love On Top:90年代のR&Bを思い出させてくれるような曲です。MVの振り付けや衣装も、その時代を意識して作られていますね。曲の終盤で4回も転調していくアレンジが圧巻で、一度はこのMVを見て欲しいですね。ダンスがカッコイイし、衣装チェンジもあり最後まで楽しめる内容になっています。ダンスだけでなく歌もすごくイイので、個人的にはかなり好きな曲です。
5thアルバム『Beyoncé』(2013年)
2013年12月13日、事前告知もプロモーションも一切なしで、iTunes Storeに突然公開された作品。全収録曲にミュージックビデオを付けた「ビジュアル・アルバム」という形式で、発表方法そのものが業界に衝撃を与えました。以後、サプライズリリースは珍しい手法ではなくなりましたが、その流れを決定づけたのがこの1枚です。
内容も攻めていて、性愛やフェミニズム、産後の身体といった主題を、暗く粘っこいトラックの上で歌います。全米アルバムチャート1位。2015年の第57回グラミー賞では「Drunk in Love」が最優秀R&Bパフォーマンス賞・最優秀R&Bソング賞を受賞しました。買うなら「7/11」が収録されているプラチナ・エディションがおすすめです。
収録曲(通常盤)
- Pretty Hurts
- Haunted
- Drunk in Love (feat. Jay-Z)
- Blow
- No Angel
- Partition
- Jealous
- Rocket
- Mine (feat. Drake)
- XO
- Flawless (feat. Chimamanda Ngozi Adichie)
- Superpower (feat. Frank Ocean)
- Heaven
- Blue (feat. Blue Ivy)
Beyoncé – XO:アルバムの中では珍しくまっすぐなラブソング。コニーアイランドの遊園地で撮影されたMVも含めて、開放感のある1曲です。
Beyoncé – Drunk in Love ft. JAY-Z:夫婦での共演曲。低音の効いたビートの上で、歌ともラップともつかない自由な発声を聴かせます。2014年のグラミー賞でのオープニング・パフォーマンスも語り草になりました。
Beyoncé – Partition:アルバムの官能的な側面を象徴する曲。前半の「Yoncé」パートから後半へなだれ込む構成で、ライブでも定番になっています。
Beyoncé – 7/11:何気にビヨンセの曲の中ではかなり好きです。MVの金のかかってなさが面白いし、逆にビヨンセの魅力が詰まっているような気がします。ホテルの部屋で友人とふざけているだけの映像をMVにしたセンスには脱帽。プラチナ・エディションからのシングルです。
6thアルバム『Lemonade』(2016年)
2016年4月23日リリース。前作と同じくビジュアル・アルバムで、65分の映像作品がHBOで同時に放送されました。映像は「直感」「否認」「怒り」「無関心」……といった11の章立てで進み、夫の裏切りへの怒りから赦しに至るまでを一本の物語として描いています。
音楽的にも振れ幅が大きく、レゲエ、ロック、カントリー、ゴスペル、トラップまで飲み込んでいます。ジャック・ホワイト、ザ・ウィークエンド、ジェイムス・ブレイク、ケンドリック・ラマーと参加陣も多彩。大きなシングルヒットこそ無いものの、アルバムとしての完成度が非常に高く、各メディアの年間ベストで軒並み上位に入りました。第59回グラミー賞では最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞と、「Formation」で最優秀ミュージックビデオ賞を受賞しています。
収録曲(通常盤)
- Pray You Catch Me
- Hold Up
- Don't Hurt Yourself (feat. Jack White)
- Sorry
- 6 Inch (feat. The Weeknd)
- Daddy Lessons
- Love Drought
- Sandcastles
- Forward (feat. James Blake)
- Freedom (feat. Kendrick Lamar)
- All Night
- Formation
Beyoncé – Formation:2016年2月6日に先行公開され、その翌日にはスーパーボウル50のハーフタイムショーに出演して披露した曲。南部の黒人文化とハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズを描いた強いメッセージを持つMVで、大きな議論を呼びました。
Beyoncé – Sorry:「I ain’t sorry」と繰り返す、アルバムの「怒り」パートを代表する曲。テニス選手のセリーナ・ウィリアムズがMVに出演していることでも知られています。
7thアルバム『Renaissance』(2022年)
2022年7月29日リリース。ソロ名義では『Lemonade』以来6年ぶりのスタジオアルバムで、三部作の「ACT I」と位置づけられた作品です。テーマはハウス、ディスコ、ボールルーム・カルチャー。黒人とクィアのコミュニティが作り上げたクラブ・ミュージックの歴史に光を当てる、という明確な意図のもとで作られています。
全16曲がほぼ切れ目なくつながる構成で、1枚を通してDJミックスのように聴かせます。先行シングル「Break My Soul」は全米シングルチャート1位を獲得。ソロ名義での首位は「Single Ladies (Put a Ring on It)」以来でした。全米アルバムチャートは初登場1位、第65回グラミー賞(2023年)では最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム賞を含む4部門を受賞し、この時点でグラミー賞の史上最多受賞記録を更新しています。
収録曲
- I'm That Girl
- Cozy
- Alien Superstar
- Cuff It
- Energy (feat. Beam)
- Break My Soul
- Church Girl
- Plastic Off the Sofa
- Virgo's Groove
- Move (feat. Grace Jones & Tems)
- Heated
- Thique
- All Up in Your Mind
- America Has a Problem
- Pure/Honey
- Summer Renaissance
Beyoncé – BREAK MY SOUL:ロビン・S「Show Me Love」のシンセと、バウンス・ミュージックの重鎮ビッグ・フリーディアのボーカルを組み合わせた90年代ハウス直系のトラック。「仕事を辞めて、自分の魂を取り戻す」という歌詞が、当時の「大退職時代」の空気と重なって受け止められました。
Beyoncé – CUFF IT:ナイル・ロジャースがギターで参加した、80年代ファンク/ディスコ調のナンバー。SNSでのダンス動画をきっかけに人気が広がり、アルバムの中でも息の長いヒットになりました。まずこの1曲から入るのもおすすめです。
8thアルバム『Cowboy Carter』(2024年)
2024年3月29日リリース、三部作の「ACT II」にあたる作品。今度のテーマはカントリーです。全27曲・約80分という大作で、テキサスのラジオ番組に見立てた構成の中に、ドリー・パートン、ウィリー・ネルソン、そして黒人女性として初めてグランド・オール・オプリの舞台に立ったリンダ・マーテルがDJ役として登場します。
単なるジャンル転向ではなく、カントリーというアメリカ音楽の根幹に黒人音楽家が果たしてきた役割を掘り起こす、という狙いがはっきりした作品です。ドリー・パートンの「Jolene」をカバーし、ビートルズの「Blackbird」を黒人女性カントリー歌手4人とともに「Blackbiird」として歌い直すなど、選曲そのものが主張になっています。
先行シングル「Texas Hold ‘Em」は全米シングルチャート1位を獲得し、黒人女性として初めてビルボードのカントリー・ソング・チャートで首位に立ちました。アルバムは全米初登場1位。そして2025年2月の第67回グラミー賞では、最優秀アルバム賞(Album of the Year)と最優秀カントリー・アルバム賞、マイリー・サイラスとの「II Most Wanted」で最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞しました。長年アルバム賞に届かなかった彼女にとって、悲願の受賞です。
収録曲
- Ameriican Requiem
- Blackbiird (with Brittney Spencer, Reyna Roberts, Tanner Adell & Tiera Kennedy)
- 16 Carriages
- Protector (with Rumi Carter)
- My Rose
- Smoke Hour ★ Willie Nelson (with Willie Nelson)
- Texas Hold 'Em
- Bodyguard
- Dolly P (with Dolly Parton)
- Jolene
- Daughter
- Spaghettii (with Linda Martell & Shaboozey)
- Alliigator Tears
- Smoke Hour II (with Willie Nelson)
- Just for Fun (with Willie Jones)
- II Most Wanted (with Miley Cyrus)
- Levii's Jeans (with Post Malone)
- Flamenco
- The Linda Martell Show (with Linda Martell)
- Ya Ya
- Oh Louisiana
- Desert Eagle
- Riiverdance
- II Hands II Heaven
- Tyrant (with Dolly Parton)
- Sweet ★ Honey ★ Buckiin' (with Shaboozey)
- Amen
Beyoncé – TEXAS HOLD ‘EM:2024年2月11日、スーパーボウルのCM放映と同時にサプライズ公開された曲。バンジョーが跳ねるダンス・カントリーで、キャッチーさは折り紙付き。この曲でカントリー・チャートの歴史が動きました。
Beyoncé – 16 CARRIAGES:「Texas Hold ‘Em」と同時に公開されたもう1曲。15歳で家を出て働き始めた自身の来歴を、埃っぽいカントリー・バラードに乗せて歌います。アルバムの中でも特に聴き応えのある1曲です。
デスティニーズ・チャイルド時代のヒット曲
ソロとしてたくさんのヒット曲がありますが、デスティニーズ・チャイルド時代にもたくさんのヒット曲があります。ここでは、当時の曲を厳選してお送りいたします。
Destiny’s Child – Say My Name:デスティニーズ・チャイルドと言えばこの曲を思い出す人も多いでしょう。2000年に全米シングルチャート1位を記録し、翌年のグラミー賞では最優秀R&Bソング賞と最優秀R&Bパフォーマンス賞を受賞しました。なお、録音に参加したのは旧メンバーですが、MVには加入直後の新メンバーが映っており、当時の入れ替わりの慌ただしさが分かります。ここからグループは3人体制へ移っていきます。
Destiny’s Child – Independent Women Part I:映画『チャーリーズ・エンジェル』の主題歌です。全米シングルチャートで11週連続1位という、グループ最大のヒットを記録しました。自立した女性を高らかに歌う内容で、後のビヨンセのテーマにもまっすぐつながっています。
Destiny’s Child – Survivor ft. Da Brat:いやいや、デスチャといえばこの曲!って人もいるでしょう。2001年のアルバム『Survivor』のタイトル曲で、当時はヒットしてよく耳にした記憶があります。度重なるメンバーチェンジへの批判に対する返答とも読める歌詞で、グループの意地が詰まった1曲です。
グラミー賞の記録と伝説のライブ
ビヨンセを語るうえで外せないのが、グラミー賞での圧倒的な実績です。2021年の第63回グラミー賞で、女性アーティストおよび歌手として史上最多の受賞者となり、2023年の第65回では性別・ジャンルを問わずグラミー賞史上最も多く受賞したアーティストになりました。さらに2025年の第67回で『Cowboy Carter』が最優秀アルバム賞を受賞し、記録を伸ばしています。
ライブ・パフォーマーとしての評価も極めて高い人です。2018年のコーチェラ・フェスティバルでは、アフリカ系女性として初めてヘッドライナーを務め、HBCU(歴史的黒人大学)のマーチングバンド文化をまるごと舞台に持ち込んだステージを披露しました。この公演は「Beychella」と呼ばれ、翌2019年にはNetflixでドキュメンタリー『Homecoming』とライブアルバムが公開されています。
2023年の「Renaissance World Tour」は、女性アーティストによるツアーとして当時の史上最高収益を記録。2025年には「Cowboy Carter Tour」を開催し、4月28日のロサンゼルス公演から7月26日のラスベガス公演まで、アメリカとヨーロッパの9都市で全32公演を行いました。そして最終公演では、ケリー・ローランド、ミシェル・ウィリアムスがサプライズ登場し、7年ぶりにデスティニーズ・チャイルドが再結成。「Lose My Breath」「Bootylicious」などを披露して会場を沸かせました。
また、2024年12月25日にNetflixで生配信されたNFLクリスマス・ゲームのハーフタイムショー「Beyoncé Bowl」では、2025年に自身初となるプライムタイム・エミー賞(バラエティ番組部門の衣装デザイン賞)を受賞しました。歌手としてだけでなく、映像作品の作り手としても評価されはじめています。
ビヨンセの来日公演
ビヨンセは2000年代に何度か来日しています。ソロとしての初来日公演は2006年9月2日の日本武道館。翌2007年4月には初のワールドツアー「The Beyoncé Experience」で東名阪を回り、4月10日に東京ドーム、11日に大阪城ホール、14日に愛知県体育館で公演を行いました。
2009年は当たり年で、8月にサマーソニック2009(大阪・東京)へ出演した後、10月には「I AM… WORLD TOUR」で神戸ワールド記念ホール、大阪城ホール、日本ガイシホール、さいたまスーパーアリーナと4会場5公演を実施しました。
ただし、2010年代以降のツアーでは日本公演が組まれていません。「Renaissance World Tour」「Cowboy Carter Tour」もいずれも北米とヨーロッパのみの開催でした。日本のファンにとっては、次の来日が長年の悲願になっています。
まとめ
デスティニーズ・チャイルドがアルバムデビューしたのが1998年、初の全米No.1シングル「Bills, Bills, Bills」が1999年。そこから数えると、ビヨンセはグループ時代を含めて四半世紀以上にわたってトップアーティストであり続けていることになります。入れ替わりの激しい音楽業界で、ここまで長く第一線に居続けるのは本当に凄いことです。
しかも、ただ続いているだけではありません。ハウスに振り切った『Renaissance』、カントリーに踏み込んだ『Cowboy Carter』と、キャリア20年を超えてなお最も冒険的な作品を出し続けているのが、この人の異常なところです。三部作の完結編となる「ACT III」がどんな音楽になるのかも、大きな楽しみです。
これから聴き始めるなら、まずは「Crazy in Love」「Single Ladies (Put a Ring on It)」「Halo」の3曲から入るのがおすすめ。ヒット曲の魅力が分かったら、次はアルバム単位で『4』か『Lemonade』へ。そこまで来たら『Renaissance』と『Cowboy Carter』を通しで聴いてみてください。同じ人が作ったとは思えない振れ幅に驚くはずです。

