2024年にヒットした洋楽をまとめました。
サブリナ・カーペンターとチャペル・ローンが一気に主役になり、ビヨンセとポスト・マローンがそろってカントリーに踏み込み、ケンドリック・ラマーとドレイクの応酬が年の話題をさらった1年。ポップスの地図が大きく書き換わった年でした。
POP、HIP HOP、R&B、カントリー、フォーク、アマピアノまで、ジャンルを問わず幅広く紹介します。当時よく聴いていた人には懐かしく、知らない世代には発見があるはずです。
並び順はおおむねヒットの規模順です。1曲ずつ動画を載せているので、上から流していけばそのまま2024年のプレイリストとして使えます。気になった曲から聴いてみてください。
2024年の洋楽ヒット曲
Teddy Swims – Lose Control
SOUL / R&B
2024年の年間チャート1位。テディ・スウィムズのハスキーな歌声が全編で効いた、ソウル色の濃いバラードです。
チャート99位からじわじわと上がり続けて全米1位に到達。首位までに32週かかったのはHot 100の史上最長で、通算112週チャートインという記録も残しています。
Shaboozey – A Bar Song (Tipsy)
COUNTRY / HIP HOP
カントリーとヒップホップをまたぐ1曲。J-Kwonの『Tipsy』(2004年)を下敷きにした、飲み屋の景色をそのまま切り取ったような曲です。
ビルボードのシングルチャートで通算19週にわたって1位を獲得。『Old Town Road』と並ぶ、当時の史上最長タイ記録となりました。
Benson Boone – Beautiful Things
POP ROCK
ピアノと囁くような歌い出しから、サビで歪んだギターごと爆発する構成が強烈な1曲。ベンソン・ブーンをスターに押し上げました。
ビルボードのシングルチャートで最高2位、19の国と地域で1位を獲得。翌年のグラミー賞では最優秀新人賞にノミネートされています。
Post Malone – I Had Some Help ft. Morgan Wallen
COUNTRY
ポスト・マローンがカントリーに全面的に踏み込んだ1曲。モーガン・ウォレンを迎えています。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得。ヒップホップの人だった彼がカントリーアルバム『F-1 Trillion』を出す、その入口になった曲でした。
Jack Harlow – Lovin On Me
HIP HOP/RAP
Cadillac Dale『Whatever (Bass Mix)』をサンプリングした、軽快な1曲。冒頭のセリフがそのまま流行語のように使われました。
ビルボードのシングルチャートで6週にわたって1位を獲得しています。
Kendrick Lamar – Not Like Us
HIP HOP/RAP
2024年のヒップホップを語るうえで外せない1曲。ドレイクとの一連の応酬のなかから生まれ、Mustardが手掛けた西海岸らしいビートに乗せて放たれました。
10か国のチャートで1位を獲得。2025年2月の第67回グラミー賞では、ノミネートされた5部門すべてを制覇しています。
※ この曲には相手個人への強い非難が含まれており、ドレイク側は内容を否定して訴訟を起こしています。ここでは楽曲とチャート上の出来事として紹介するにとどめます。
Sabrina Carpenter – Espresso
POP / DISCO
サブリナ・カーペンターの名前を世界中に広めた曲。レトロなファンク調のトラックに、意味が通っているようないないような不思議なフレーズが乗ります。
ビルボードのシングルチャートで3位まで上昇し、通算65週にわたってチャートイン。20を超える国で1位を獲得し、2024年の夏をまるごと支配しました。
Tommy Richman – MILLION DOLLAR BABY
R&B / FUNK
バージニア出身のトミー・リッチマンによるブレイク曲。ファルセットが効いた、跳ねるファンクです。
リリース前にTikTokで断片が拡散し、公開と同時に爆発。ビルボードのシングルチャートで最高2位まで上昇しました。
Zach Bryan ft. Kacey Musgraves – I Remember Everything
COUNTRY / FOLK
ザック・ブライアンとケイシー・マスグレイヴスによるデュエット。別れた2人がそれぞれの記憶を語り合う構成です。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得。翌年のグラミー賞では最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞しました。
Hozier – Too Sweet
ROCK / BLUES
アイルランドのホージアによる、ブルース色の濃い1曲。「君は俺には甘すぎる」と歌う、渋いグルーヴが持ち味です。
ビルボードのシングルチャートで1位を獲得。『Take Me to Church』(2013年)で知られる彼にとって、初の全米1位となりました。
Noah Kahan – Stick Season
FOLK
バーモント州の、紅葉が終わって雪が降るまでの寂しい時期を指す言葉がタイトル。アコースティックギターだけで進むフォークです。
2022年に出た曲がTikTok経由でじわじわ広がり、2024年に全英シングルチャートで1位を獲得。全米でもトップ20入りするロングヒットになりました。
Tate McRae – greedy
POP
ダンサー出身のテイト・マクレーによる1曲。自信たっぷりに言い放つ歌詞と、キレのあるダンスが印象的です。
ビルボードのシングルチャートで最高3位。彼女をポップスターの位置に押し上げた曲になりました。
Future, Metro Boomin, Kendrick Lamar – Like That
HIP HOP/RAP
2024年のヒップホップの流れを決定づけた1曲。ここでのケンドリック・ラマーのヴァースが、ドレイクとの応酬の直接のきっかけになりました。
ビルボードのシングルチャートで3週にわたって1位を獲得。この曲がなければ『Not Like Us』も生まれていません。
Billie Eilish – BIRDS OF A FEATHER
POP / Alternative
アルバム『HIT ME HARD AND SOFT』の中でも突出して聴かれた曲。柔らかいシンセに乗せて、ずっとそばにいたいという気持ちをまっすぐ歌います。
ビルボードのグローバル・チャートで1位、全米で2位。IFPIの集計では2024年に世界で4番目に売れた曲となり、その後も長く聴かれ続けました。
Sabrina Carpenter – Please Please Please
POP
「お願いだから私に恥をかかせないで」と、信用しきれない相手に釘を刺し続ける曲。かわいらしいメロディの下でずっと相手を疑っている、という彼女らしい構図です。
ビルボードのシングルチャートで1位を獲得し、これが彼女にとって初の全米1位となりました。
Chappell Roan – Good Luck, Babe!
POP / SYNTH POP
チャペル・ローンのブレイク曲。自分の気持ちに嘘をついて別の相手を選ぼうとする友人に、「まあ、幸運を祈るよ」と皮肉を投げかける内容です。
ビルボードのシングルチャートで最高4位。2025年2月のグラミー賞では最優秀新人賞を受賞し、この年最大のブレイクとなりました。
SZA – Saturn
R&B
アルバム『SOS』のデラックス版『LANA』に収録された1曲。「土星にはもっといい暮らしがあるはず」と、この世界からの脱出を願います。
ビルボードのシングルチャートで最高6位。翌年のグラミー賞では最優秀R&Bソング賞を受賞しました。
Taylor Swift ft. Post Malone – Fortnight
POP
アルバム『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』の先行シングル。ポスト・マローンを迎えた、抑えた質感のシンセポップです。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得。アルバムも発売週にトップ10を独占するなど、彼女の勢いが続いた年でした。
Tyla – Water
AMAPIANO / R&B
南アフリカ出身のタイラによるブレイク曲。同国発の「アマピアノ」というジャンルのビートを取り入れています。
ビルボードのシングルチャートで最高7位。2024年のグラミー賞では新設された最優秀アフリカ音楽パフォーマンス賞の初代受賞者となりました。
Sabrina Carpenter – Feather
POP
厄介な相手が消えて「羽みたいに軽くなった」と歌う痛快な1曲。もとは2023年のデラックス版に収録されていた曲です。
教会で撮影されたミュージックビデオが物議を醸しましたが、結果的に注目を集め、彼女のブレイクを後押ししました。
Ariana Grande – we can’t be friends (wait for your love)
POP
アルバム『eternal sunshine』からのシングル。タイトルどおり、映画『エターナル・サンシャイン』を下敷きにした世界観です。
ビルボードのシングルチャートで1位を獲得。記憶を消す施術を受ける本人を描いたミュージックビデオも話題になりました。
Dasha – Austin
COUNTRY
カリフォルニア出身のダーシャによる、ラインダンス向けのカントリー。TikTokでダンスチャレンジが広まりました。
全英シングルチャートでトップ3入りするなど、アメリカ以外でも大きく伸びた1曲です。
Beyoncé – TEXAS HOLD ‘EM
COUNTRY
ビヨンセがカントリーに正面から取り組んだアルバム『COWBOY CARTER』からの先行シングル。スーパーボウルのCMと同時に発表されました。
ビルボードのシングルチャートで1位を獲得。黒人女性として史上初めてビルボードのカントリーチャートで1位に立った曲でもあります。アルバムは翌年のグラミー賞で最優秀アルバム賞と最優秀カントリー・アルバム賞を受賞しました。
Taylor Swift – I Can Do It With A Broken Heart
POP
同じく『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』から。「心が壊れていてもショーはできる」と、ツアー中の自分を歌った曲です。
明るいシンセポップの上に置かれた内容が生々しく、ビルボードのシングルチャートで最高5位まで上昇しました。
Eminem – Houdini
HIP HOP/RAP
アルバム『The Death of Slim Shady』からの先行シングル。自身の『Without Me』(2002年)を下敷きにして、過去のスリム・シェイディを呼び戻す構成です。
ビルボードのシングルチャートで最高2位。往年のファンには反則級の1曲でした。
Dua Lipa – Houdini
POP / DANCE
アルバム『Radical Optimism』からの先行シングル。エミネムと同名ですがまったく別の曲で、こちらはサイケデリック寄りのダンスポップです。
前作『Future Nostalgia』の路線から一歩ずらした音作りで、全英シングルチャートでトップ5入りしました。
GloRilla, Megan Thee Stallion – Wanna Be
HIP HOP/RAP
メンフィス出身のグロリラが、メーガン・ジー・スタリオンを迎えた1曲。二人の押しの強さが真正面からぶつかります。
ビルボードのシングルチャートでトップ20入りし、この年の女性ラッパーの勢いを象徴する曲になりました。
Benson Boone – Slow It Down
POP
『Beautiful Things』に続くシングル。「もう少しゆっくり進もう」と関係の速度を落とそうとする、アコースティック主体の落ち着いた1曲です。
派手さでは代表曲に譲りますが、彼の書く歌詞の丁寧さがよく出ています。
Djo – End of Beginning
Alternative / INDIE
ドラマ『ストレンジャー・シングス』の俳優ジョー・キーリーによる音楽プロジェクト、Djo(ジョー)の曲。2022年のアルバム収録曲です。
シカゴを離れる寂しさを歌った内容がTikTokで大量に使われ、2年越しでヒット。ビルボードのシングルチャートでトップ20入りしました。
Doja Cat – Agora Hills
HIP HOP / R&B
アルバム『Scarlet』からのシングル。ロサンゼルス郊外の地名をタイトルにした、90年代R&B寄りのゆったりした曲です。
2000年代のホームビデオ風のミュージックビデオも凝っていて、ビルボードのシングルチャートでトップ10入りしました。
Zach Bryan – Pink Skies
COUNTRY / FOLK
亡くなった人の葬儀に集まる家族を、静かな視点で描いた曲。ザック・ブライアンらしい飾り気のなさです。
ビルボードのシングルチャートで最高12位。大手レーベルの後押しに頼らず結果を出し続ける彼の存在感を、さらに強めました。
Lady Gaga, Bruno Mars – Die With A Smile
POP / SOFT ROCK
2024年8月に発表された、70年代のバラードを思わせるデュエット。リリースは2024年ですが、真価を発揮したのは翌年でした。
Spotifyでは2025年に世界で最も再生された曲となり、ビルボードの2025年の年間チャートでも1位。30を超える国のチャートで1位を獲得しています。
ROSÉ & Bruno Mars – APT.
POP ROCK
BLACKPINKのロゼとブルーノ・マーズによるコラボ。韓国の飲み会ゲームの掛け声「アパート」がそのままサビになっています。
2024年10月のリリース後に世界中へ広がり、IFPIの集計で2025年の世界で最も売れたシングルに。北米・欧州以外のアーティストがこの1位に立つのは初めてのことでした。
2024年の洋楽シーン総括
2024年を一言でまとめるなら、新しい主役が一斉に出てきた年でした。Sabrina Carpenter(サブリナ・カーペンター)は『Espresso』『Please Please Please』『Taste』と当て続けてトップに立ち、Chappell Roan(チャペル・ローン)とBenson Boone(ベンソン・ブーン)、Teddy Swims(テディ・スウィムズ)、Tommy Richman(トミー・リッチマン)も一気に名前を広げています。
カントリーの勢いは前年からさらに加速しました。Shaboozeyの『A Bar Song (Tipsy)』が19週にわたって全米1位を守り、Beyoncé(ビヨンセ)はアルバム『COWBOY CARTER』でカントリーに正面から取り組んで、黒人女性として史上初めてカントリーチャートの1位に立ちました。ヒップホップの人だったPost Malone(ポスト・マローン)までカントリーアルバムを出しています。
一方でヒップホップの話題をさらったのは、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)とDrake(ドレイク)の応酬でした。きっかけとなった『Like That』から『Not Like Us』へという流れは、音楽の枠を超えたニュースになり、後者は翌年のグラミー賞でノミネート5部門すべてを制することになります。
英語圏の外からの曲も存在感を増しました。南アフリカのTyla(タイラ)の『Water』はアマピアノというジャンルを世界に伝え、新設されたグラミー賞の最優秀アフリカ音楽パフォーマンス賞の初代受賞者に。年末にはROSÉとBruno Marsの『APT.』が出て、翌年の世界最多セールスへとつながっていきます。
そしてヒットに時間がかかる傾向は、この年も変わりませんでした。年間1位のTeddy Swims『Lose Control』は首位到達までに32週、Noah Kahanの『Stick Season』は2年前の曲、Djoの『End of Beginning』も2年越し。じわじわ伸びてから長く残るのが、いまの標準的なヒットの形です。





















