2019年にヒットした洋楽をまとめました。
TikTok発の曲がチャートを塗り替え、10代のビリー・アイリッシュがグラミー賞を独占し、ラテンとK-POPがさらに存在感を増した年。2010年代の最後の1年は、ヒットの生まれ方そのものが変わったことがはっきり見えた1年でもありました。
POP、HIP HOP、R&B、ラテン、カントリー、メタルまで、ジャンルを問わず幅広く紹介します。当時よく聴いていた人には懐かしく、知らない世代には発見があるはずです。
並び順はおおむねヒットの規模順です。1曲ずつ動画を載せているので、上から流していけばそのまま2019年のプレイリストとして使えます。気になった曲から聴いてみてください。
2019年の洋楽ヒット曲
Lil Nas X – Old Town Road ft. Billy Ray Cyrus
Country / HIP HOP
2019年を象徴する1曲。2018年12月に個人でリリースされた曲が動画アプリTikTokで拡散し、そこから世界的なヒットに育っていきました。
ビルボードのシングルチャートで19週連続1位という記録を打ち立て、それまでの最長記録だった16週を塗り替えています。カントリーシンガーのビリー・レイ・サイラス(マイリー・サイラスの父親)を迎えたリミックスが決定打になりました。
なお、この曲は一度ビルボードのカントリーチャートから「カントリーではない」として除外され、ジャンルの線引きをめぐる大きな議論を呼びました。
Billie Eilish – bad guy
Alternative
デビューアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』からのシングル。兄フィニアスとの自宅録音から生まれた、スカスカなのに耳から離れないトラックが強烈です。
『Old Town Road』の19週連続1位を止めたのが、まさにこの曲でした。翌2020年のグラミー賞では最優秀レコード賞・楽曲賞・アルバム賞・新人賞の主要4部門を独占しています。
Post Malone, Swae Lee – Sunflower
HIP HOP
アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の主題歌。ポスト・マローンと、Rae Sremmurdのスウェイ・リーによるコラボです。
2019年1月にビルボードのシングルチャートで1位を獲得。軽やかなメロディと甘い歌声で、映画を観ていない人にも広く届いた1曲になりました。
Lizzo – Truth Hurts
POP / HIP HOP
リゾはアメリカのシンガー兼ラッパー。ありのままの自分を肯定するスタイルが多くの支持を集めました。
もともとは2017年に出ていた曲ですが、TikTokとNetflix映画『サムワン・グレート』で火がつき、2019年になって大ブレイク。7週にわたってビルボードのシングルチャート1位を守り、女性ラッパーのソロ曲としては最長記録となりました。翌年のグラミー賞では最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞しています。
Shawn Mendes, Camila Cabello – Señorita
POP / LATIN
人気アーティスト同士のコラボによる大ヒット曲。ビルボードのシングルチャートで1位を獲得しました。
ラテンの香りを効かせたギターと、二人の距離感がそのまま伝わってくるようなMVが話題に。夏の定番として今も再生され続けている1曲です。
Lewis Capaldi – Someone You Loved
POP
スコットランド出身のシンガーソングライター、ルイス・キャパルディのブレイク曲。抑えた歌い出しからサビで一気に振り切る歌声が圧巻です。
全英シングルチャートで7週連続1位を記録し、2019年にイギリスで最も売れたシングルになりました。アメリカでもじわじわと伸びていき、チャートイン24週目にしてビルボードで1位を獲得しています。
Ariana Grande – 7 rings
POP
アルバム『thank u, next』からのシングル。ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の『My Favorite Things』を引用したメロディが印象的です。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得し、通算8週にわたって首位を守りました。この時期のアリアナ・グランデは、シングルチャートのトップ3を自身の曲だけで占めるという記録も打ち立てています。
Post Malone – Circles
POP
アルバム『Hollywood’s Bleeding』からのシングル。ヒップホップの人という印象が強いポスト・マローンですが、この曲はギターの効いたポップソングです。
2019年11月末にビルボードのシングルチャートで1位を獲得。彼にとって初のソロ名義での首位となりました。ジャンルに縛られない作り方が、そのまま強みになっています。
TONES AND I – DANCE MONKEY
POP
オーストラリア出身のトーンズ・アンド・アイが、路上ライブから一気に世界へ飛び出した1曲。独特のしゃくり上げるような歌い方が一度聴いたら忘れられません。
30を超える国のチャートで1位を獲得。母国オーストラリアでは通算24週にわたって首位を守り、同国の最長記録を更新しました。全英シングルチャートでも11週連続1位という、女性アーティストとしての記録を残しています。
Khalid – Talk
R&B / SOUL
カリードはアメリカのR&Bシンガー。10代でデビューし、気だるさと甘さが同居した歌声で人気を集めました。
この曲のプロデュースを手掛けたのは、イギリスのエレクトロデュオDisclosure。アルバム『Free Spirit』は全米アルバムチャートで1位を獲得しています。
Jonas Brothers – Sucker
POP
アメリカの3人兄弟バンド、ジョナス・ブラザーズの復活曲。2013年の解散から約6年ぶりの新曲でした。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得。グループにとって、これがキャリア初の全米1位でした。メンバーの妻たちが出演するMVも話題になりました。
Ed Sheeran & Justin Bieber – I Don’t Care
POP
世界的な人気を持つ二人が組んだコラボ曲。エド・シーランのコラボ専門アルバム『No.6 Collaborations Project』に収録されています。
パーティーが苦手な二人が「君がいるから平気」と歌う内容で、全英シングルチャート1位を獲得しました。
Sam Smith, Normani – Dancing With A Stranger
POP
バラードの名手というイメージが強いサム・スミスが、ミッドテンポのR&B寄りな曲に挑んだ1曲。
共演のノーマニは、活動を休止したガールズグループFifth Harmonyの元メンバーです。ソロとしての存在感を印象づけました。
Ava Max – Sweet but Psycho
POP
アルバニア系アメリカ人シンガー、エイヴァ・マックスのデビューシングル。強めのシンセと、突き抜けるサビがクセになります。
ヨーロッパを中心に22の国と地域でチャート1位を獲得し、全英シングルチャートでも首位に。アメリカでも彼女にとって初のトップ10ヒットとなりました。
Selena Gomez – Lose You To Love Me
POP
ピアノと歌だけで始まる、静かで強いバラード。「あなたを失って、やっと自分を愛せるようになった」という一節がそのまま曲の芯になっています。
ビルボードのシングルチャートで1位を獲得。長いキャリアを持つセレーナ・ゴメスにとって、これが初の全米1位でした。MVはiPhoneで撮影されたモノクロ映像です。
Maroon 5 – Memories
POP / ROCK
パッヘルベルの『カノン』のコード進行をそのまま使った、シンプルで沁みる1曲。亡くなった友人やマネージャーへの想いが込められています。
アダム・レヴィーンの歌とアコースティックギターだけで進んでいく作りで、それまでのマルーン5のヒット曲とはずいぶん手触りが違います。2019年2月には来日公演も行われました。
Taylor Swift – ME! (feat. Brendon Urie of Panic! At The Disco)
POP
アルバム『Lover』からの先行シングル。前作『reputation』の暗く攻撃的な世界観から一転して、極彩色のポップに振り切っています。
Panic! At The Discoのボーカル、ブレンドン・ウリーが参加。パステルカラーで埋め尽くされたMVも、アルバムの方向転換を分かりやすく示していました。
The Weeknd – Heartless
R&B / HIP HOP
翌2020年のアルバム『After Hours』へつながる先行シングル。プロデュースにはMetro Boominが参加しています。
2019年12月にビルボードのシングルチャートで1位を獲得。結果的に、2010年代の最後を飾った新曲の首位となりました。
Travis Scott – HIGHEST IN THE ROOM
HIP HOP/RAP
前年の『SICKO MODE』でシーンの中心に立ったトラヴィス・スコットのシングル。浮遊感のあるシンセと歪んだ声が、彼の世界そのものです。
初登場でビルボードのシングルチャート1位を獲得しました。後にROSALÍAとLil Babyを迎えたリミックスも発表されています。
DaBaby – Suge
HIP HOP/RAP
ノースカロライナ出身のラッパー、ダベイビーのブレイク曲。デビューアルバム『Baby on Baby』からのシングルです。
休みなく畳みかける独特のフロウで一気に注目を集め、ビルボードのシングルチャートで7位まで上昇。翌年のグラミー賞では最優秀ラップ・パフォーマンス賞などにノミネートされました。
Dan + Shay, Justin Bieber – 10,000 Hours
Country / POP
ダン・アンド・シェイは、ダン・スマイヤーズとシェイ・ムーニーによるアメリカのカントリーデュオです。
そこにジャスティン・ビーバーが加わった、カントリーとポップのちょうど中間にある曲。「君を知るのに1万時間かかるなら、喜んでそうする」という歌詞で、後にグラミー賞の最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞しました。
Ed Sheeran – Beautiful People (feat. Khalid)
POP
カリードを迎えたエド・シーランのシングル。華やかな世界に馴染めない居心地の悪さを歌った、少し内省的な曲です。
様々なアーティストとの共作を集めたアルバム『No.6 Collaborations Project』に収録されています。
Cardi B & Bruno Mars – Please Me
HIP HOP/RAP
前年の『Finesse』に続く、ブルーノ・マーズとカーディ・Bのコラボ第2弾。今回は90年代R&B寄りの、ねっとりとしたグルーヴです。
ダイナーを舞台にしたMVも含めて、二人の相性の良さがそのまま形になった1曲でした。
BTS – Boy With Luv (feat. Halsey)
K-POP / POP
韓国のBTSがホールジーを迎えたシングル。EP『MAP OF THE SOUL : PERSONA』のリード曲です。
MVは公開24時間の再生数で当時の世界記録を打ち立て、K-POPが英語圏のメインストリームに完全に入り込んだことを示しました。この年のビルボード・ミュージック・アワードでは、ホールジーとともにステージで披露しています。
Daddy Yankee & Snow – Con Calma
LATIN
レゲトンの大御所ダディー・ヤンキーが、カナダのスノウを迎えた1曲。1993年の大ヒット曲『Informer』を今のレゲトンとして作り直しています。
20を超える国のチャートで1位を獲得。後にケイティ・ペリーを迎えたリミックスも発表されました。
ROSALÍA, J Balvin – Con Altura (ft. El Guincho)
LATIN
スペインのロサリアと、コロンビアのJ・バルヴィンによるコラボ。フラメンコの発声とレゲトンのビートが同居した、他にない手触りの曲です。
ラテン・グラミー賞の最優秀アーバン・ソング賞を受賞。MTVビデオ・ミュージック・アワードでも受賞し、ロサリアがスペイン出身のアーティストとして初めてこの賞を手にしました。
Avicii – SOS ft. Aloe Blacc
Electro/Dance
2018年に28歳で亡くなったスウェーデンのDJ、アヴィーチーの遺作。生前に手掛けていた音源をもとに、関係者の手で完成させた楽曲です。
『Wake Me Up』でも組んだアロー・ブラックが再びボーカルを担当。この曲を含むアルバム『TIM』は2019年6月に発売され、収益は彼の名を冠した精神疾患・自殺予防の財団に充てられました。
Slipknot – Unsainted
METAL / ROCK
ここまでポップ/ヒップホップ中心でしたが、2019年はロックにも大きな作品がありました。9人組メタルバンド、スリップノットの復活曲です。
ゴスペル調のコーラスから重いリフになだれ込む構成が強烈。この曲を収録したアルバム『We Are Not Your Kind』は、全米・全英の両方でアルバムチャート1位を獲得しました。
2019年の洋楽シーン総括
2019年を一言でまとめるなら、ヒットの生まれ方が変わった年でした。その象徴が『Old Town Road』です。無名のアーティストが自分でアップロードした曲がTikTokで広がり、そのままビルボード19週連続1位という史上最長記録にたどり着く。数年前なら考えられない道のりでした。リゾの『Truth Hurts』が2年前の曲なのにこの年ブレイクしたのも、同じ流れの中にあります。
女性アーティストの活躍が特に目立った年でもありました。Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)は10代にして翌年のグラミー賞で主要4部門を独占。Lizzo(リゾ)やTONES AND I(トーンズ・アンド・アイ)といった新しい名前が一気に浸透し、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)やTaylor Swift(テイラー・スウィフト)といった既存のスターも変わらず結果を出しています。
ラテン音楽の勢いも続きました。『Señorita』『Con Calma』『Con Altura』と、英語圏のチャートにスペイン語やラテンのリズムが当たり前のように並ぶようになったのがこの年です。とりわけROSALÍA(ロサリア)の登場は、ラテン=レゲトンという構図を一段広げるものでした。
そしてBTSの『Boy With Luv』です。K-POPがアメリカのメインストリームでヒットするという光景が、この年から特別なことではなくなっていきました。
男性アーティストではPost Malone(ポスト・マローン)が引き続き強く、『Sunflower』と『Circles』の2曲でチャートの上位に居続けました。Travis Scott(トラヴィス・スコット)やDaBaby(ダベイビー)といったラッパーも、初登場1位や年間上位を記録しています。
一方で、失われたものも多い年でした。前年に亡くなったAvicii(アヴィーチー)の遺作アルバム『TIM』が発売され、ラッパーのNipsey Hussle、そして年末にはJuice WRLDが亡くなっています。華やかなチャートの裏側で、シーンが立て続けに大切な才能を失った1年でもありました。




















